りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

スキャナーに生きがいはない

 

 ★★★★

1950年、あるSF雑誌に無名の新人の短篇が掲載された。異様な設定、説明なしに使われる用語、なかば機械の体の登場人物が繰り広げる凄まじい物語…この「スキャナーに生きがいはない」以来、“人類補完機構”と名づけられた未来史に属する奇妙で美しく、グロテスクで可憐な物語群は、熱狂的な読者を獲得する。本書はシリーズ全中短篇を初訳・新訳を交え全3巻でお贈りする第1巻。20世紀から130世紀までの名品15篇を収録。  

 「〇〇みたい」と説明できない独自な世界感と語り口。
異様としかいいようがないような設定や世界の中で、描かれるのは心のありよう。

絶望的な世界の中で希望を見い出し、ハッピーエンドのその後に不穏な未来がちらっと見える。
それでも愛があればどうにかなる!と受け止めていいのかな。

未来に対してまるで希望を抱けてない私にもほんの少しの希望を見せてくれたような気がする。
ドSFなのに不思議と読みやすかった。