りつこの読書と落語メモ

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戦場のコックたち

 

戦場のコックたち

戦場のコックたち

 

 ★★★★

1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエド、お調子者のディエゴ、調達の名人ライナスらとともに、度々戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。不思議な謎を見事に解き明かすのは、普段はおとなしいエドだった。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件など、戦場の「日常の謎」を連作形式で描く、青春ミステリ長編。         

 戦場で現実から目をそらすために…あるいは正気を保つために、「日常の謎」を解いて探偵ごっこをするティムとコック仲間のエド。
物語が進むにつれて、戦場の過酷さがどんどん増し、彼らのささやかなユーモアや日常を奪っていく。

戦場に行ったら敵を倒すことが正義なわけで、敵は「悪」であると信じなければ正気を保つことは難しい。戦場に出たティムは成長し、そして損なわれていく…。

どんなにきれいな言葉を贈っても命は返ってこないし、またたとえ生きて帰れたとしても失われたものを取り戻すことは難しい。
読んでいる間中、戦争は嫌だ、絶対戦争はしちゃいけない。そんな思いでいっぱいになった。

苦いけれど忘れがたい物語だった。