りつこの読書と落語メモ

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柳家小満ん「在庫棚卸し」第16回

4/6(日)、橘家で行われた柳家小満ん「在庫棚卸し」第16回に行ってきた。

・小満ん「雁風呂」
・小満ん「茶碗割」
・小満ん「お若伊之助」

もっと見たいといつも思いながらなかなか行けない小満ん師匠の会。
いつも見ているブログを書いている方の中でもこの会の常連さんは結構いらっしゃって、記事を見ては「いいなぁ」「行きたかったなぁ」と思うのだけれど、「座敷」「分かりづらい場所」「常連さん」「上級者」…そんなところから、ううううーやっぱり無理だーー、と腰が引けてしまうのだ。
と言いながら、酔った勢いでメールをして参加することに。たいていのことを酔った勢いで決めてしまう私だ。

地図をプリントアウトしても地図が読めなきゃ意味がない。
曙橋で降りたものの、案の定自分がどこにいるのかどこに向かえばいいのか方向さえも失いぐるぐるぐるぐる。
もう最初からやり直すしかない!と駅に戻り、会場に電話をすると誰も出ない。がるるるる〜。これじゃもうたどり着けないじゃないー。

ガソリンスタンドで地図を見てもらうと「ここら辺は入り組んでるからねぇ」と言いながら、こっちの方向に歩いて行って4つ目の角を右に曲がってあとは頑張って探してみなはれ」と教えてくれた。
よ、よし。それなら私にもできそうだ。
4つ目の角を曲がって歩いて行くと、う、うーん。なんかやっぱり違うような。
と思っていると電話が!

出てみると品のいいおじいさん。
「あ、あの!迷ってまして!」と言うと「おやおや。ところでどなたですか?」
ひぃー。どなたですかって?会場の人じゃないの?
名前を名乗ると「落語会にいらっしゃる方かな」
「はいそうです!」
「で、今、どこにいらっしゃいますか?」
「ど、どこって…。ええと、なんか病院があります。なんちゃら病院」
「ああ…。病院?ああ、そうか。あなたどの方向からいらしたか分からないですけど、違うところで曲がってしまったようですね。ええとね、そのあたりに階段がありませんか。ある?その階段を下りて道なりに歩いて行くとその先に居酒屋さんがありますから。そこを右に曲がったところにあります」
「わ、わかりました。行ってみます」

で、行ってみたけど、「道なり」を間違えたのか、行き止まり。
ふらふらと坂を上りそこにいた男の人に居酒屋を聞いたけど分からず。
もうだめだ。あきらめて帰るしかない、と思っていると、小さな公園があって準備をしている人たちが。
そこに行って聞いてみると「あー。わかった。ここをまっすぐ行ってその角を右に曲がるの」と教えてくれた。
よろよろと歩いて行くとあった!居酒屋!そしてそこを曲がると、あった、橘家!

受付には感じのいい女性。こちらはもう汗だくだく。
よれよれの状態で部屋に入り座って一息ついてはっと思う。
あの電話の主はもしかすると小満ん師匠だったかもしれない…。ぞぞぞ…。
人間のダメさ加減をさらしてしまったなぁ…。とほほほほ。
(って長いよ!)

「雁風呂」
初めて聴く噺。
水戸光圀公が諸国を漫遊中に入った粗末な宿で置いてあった屏風が土佐光信の作であることに気付いて驚く。なぜこんな粗末な宿にこのような物が?
しかも屏風に描かれているのが、松の枝に雁という変わった組み合わせ。この絵の絵解きを出来る者はいるか?と家中に尋ねるが誰も分からない。
そこに上方からやってきたと思われる町人二人。
屏風を見て「さすがは土佐光信や」と感心している。
「これを見て絵の意味も分からないようなヤツは目はあっても節穴や」と話していると、それに気づいた光圀公が二人を呼んで絵解きをさせる…。

町人のうち1人が結構な毒舌で二人でぱーぱー話していると、何やら立派なお武家さまに呼ばれてしまい真っ青。
畏れ多くも…と恐縮しながらも絵の意味を語るのだが、これがまた面白い。
いかにもな人情噺でも滑稽噺でもなく淡々と語る小満ん師匠独特のお話の世界で、それがなんともいえず心地よい。大仰さを嫌うようにそこかしこに挟まれるユーモアがたまらなく好きだ。

「茶碗割」
質両替商の小松屋喜右衛門が詐欺に遭い、それを芝居にまでされてしまって大評判。まんまと騙されたことも悔しいしなにより店の信用が落ちてしまったのが悔しい。
喜右衛門はまさにその芝居を利用した一計を案じるのだが…。

これまた面白い噺だった。
まったく知らない噺だったので、どうなる?どういうこと?とワクワクしっぱなし。最後まで聞いて「ほ〜っ」とため息。 終わったあと「これなんていう噺?」「知ってる?」と小満んファンのみなさまがざわざわしていたのが楽しい。
それにこたえるように中入り後に出てきた小満ん師匠が「今のは、尾崎紅葉作の”茶碗割”というお噺です」と。
尾崎紅葉が自ら講談として語ったというのだが、小満ん師匠が語るとそれはもうちゃんと「落語」で、ところどころ思わずぷっと吹き出すようなところがあって楽しい。いいなぁ。

「お若伊之助」
これだけ聞いたことがある噺だった!でも私が聞いたことがあった「お若伊之助」とはテイストが違う。噺家さんによって解釈やテイストが違うのが落語の楽しいところ。
「離魂病」のまくらが噺の結末につながっていて、なるほど…面白い。

次回はGWで行けないけれど、またぜひ行きたいなぁ。でもまた迷わずにたどり着ける自信がない…。