りつこの読書と落語メモ

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よだかの片想い

よだかの片想い

よだかの片想い

★★★★

左の目から頬にかけてアザがある理系女子大生の前田アイコ。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と対談企画で出会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めてゆくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への思いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる…。
遅い「初恋」を通して成長する女性の内面を瑞々しく描いた意欲作!

今まで読んだ島本作品は、淡い想いが暴力的に踏みにじられることが多かったのでドキドキしながら読んだのだが、ストレートなメッセージが伝わってくる物語で驚いた。
気にすれば気にするだけ臆病になり人の言葉に敏感になり傷つきやすくなる。でもだからこそ人の気持ちに気付いてあげられる。

恋愛というのはそれ自体が完璧なものではなく、むしろイビツなものではあるけれど、目を開かせてくれる、見える景色を変えてくれるといういみでは、ほんとに宝物のような出来事なんだなと思った。