りつこの読書と落語メモ

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デニーロ・ゲーム

デニーロ・ゲーム (エクス・リブリス)

デニーロ・ゲーム (エクス・リブリス)

★★★★

内戦下のベイルートで、キリスト教民兵組織が支配する地区に暮らすアルメニア系の少年バッサーム。幼なじみのジョルジュは「デニーロ」というあだ名で呼ばれている。二人はジョルジュが働くカジノから金をくすね、ガソリンを盗んではバイクを乗り回す日々を送る。ジョルジュはカジノを運営する民兵組織に引き抜かれ、イスラエルで訓練を受けるかたわら、密造酒や麻薬の取引をバッサームに持ちかけ、次第に二人は疎遠になっていく。ある日、バッサームはある殺人事件の嫌疑をかけられ、民兵組織に連行され拷問を受けるが、ジョルジュの叔母の計らいによって解放される。彼はレバノン国外に逃れる決心を固め、その資金を手に入れるため、カジノの売上を強奪する。脱出の直前、キリスト教勢力の最高司令官が暗殺され、それに関与した容疑をかけられたバッサームを、ジョルジュが連行しにやってくる…。

舞台は内戦下のベイルート。幼なじみで無二の親友だったバッサームとジョルジュ。ともに遊びともに育ちともに悪事を働いてきた2人だったが、ある時ジョルジュは民兵に入り、バッサームはそのままチンピラになり、疎遠になっていく。 殺人の嫌疑をかけられたバッサームは酷い拷問を受け、レバノン国外への脱出を企てるが、その直前に彼を連行しにジョルジュが差し向けられる…。

戦争という圧倒的な暴力によって奪われていく家族、家、友だち。
当たり前のように人が死んでいくなかで、善悪の基準はあいまいになり優しさや愛は凍りつき徐々に正気を失っていく。

生き延びるためには邪魔なものは次々殺していく。
それまではぐくんできた愛情も友情もはかなく消えていく。
しかし思い出したくないのに消えない血の記憶。
平和な場所に逃げ込んでも背負った十字架をはがすことはできない。誰にも理解してもらえない。誰ともわかりあえないという圧倒的な孤独。

静かな語り口で圧倒的な絶望を伝えてきて、読んでるこちらもぐったり…。
こんな現実を生きている人たちがいるなんて…。どんな理由があったとしても、人が人を殺すことが当たり前の世界は間違ってる…。