りつこの読書と落語メモ

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春から夏、やがて冬

春から夏、やがて冬

春から夏、やがて冬

★★

スーパーの保安責任者の男と、万引き犯の女。偶然の出会いは神の思い召しか、悪魔の罠か?これは“絶望”と“救済”のミステリーだ。

初めて読んだ歌野晶午作品だったんだけど、うーん…あまり好みではなかったなぁ。

最愛の娘をひき逃げで失い、その後妻は自殺、それまではエリートだったのだが地方のスーパーの保安責任者になった平田。 万引き犯のますみが自分の亡くなった娘と同じ昭和60年生まれだったことで、警察に引き渡すことをやめ反省を促して家に帰す。 その後病院でますみと再会した平田は、病院代を払えないますみを助け、DVを受けていることがわかると、男と別れるように説得する。

ハードボイルドっぽくかっこいいのだ、平田が。 もう何も失うものがないからなのか、超然としていて優しくて。 恐喝されたりして冷や冷やするのだが、そんな時でも慌てない。 かーっ、かっこいい!これはもしかするともしかして…?なんて思っていると…がーん…。

以下ネタバレ。




ますみも救われ、それによって生きる希望を失っていた平田も少しだけ元気になるのかと思いきや。
ガンの治療を拒む平田に生きる力を与えようとして?ますみがとった行動は、自分が平田の娘をひき逃げした犯人だという嘘をつくこと。
暴力的なところは一切なく常に冷静で動じなかった平田が、その告白を聞いて、迷うことなくますみを殺害。

えええ?なんだそれ?
それだけ娘をひき逃げされた平田の想いが強く、普段なら冷静な判断(彼女の告白が嘘であること)ができたはずなのに、逆上してしまうという…。

前半でさんざん平田の魅力を見せつけられて、このラスト…。
いったい何が言いたかったんだ?と思ってしまう。うううー。
私にはちょっと受け入れがたい作品であった。