りつこの読書と落語メモ

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橋

★★★★

悲劇は起こる。しかしそれが何故なのかは誰にもわからない。北国で育った二人の少女がそれぞれ堕ちていく二つの渦―。日本海に面した雪深い地方で、高度成長期に青春を過ごした二人の母親、元水商売の正子と信用金庫勤務の直子。彼女たちの娘、雅美とちひろが停滞の次代に家庭を持つ。そして、二人はそれぞれ、静かに人生を転落してゆくのだった。時代と人間の宿命を作家は仮借なく綴る。著者渾身の長篇小説。

初めて読んだ橋本治
何の予備知識も無く読んでいたので、「なんでこんなに空疎な女の話を延々と書いてあるんだ?」と、途中までイライラ。後半になってようやくこれが世間を賑わせた秋田の児童連続殺人事件と渋谷のエリートバラバラ殺人事件を扱っていたのだ、ということに気付く。

それにしてもなんて救いのないいやな話なんだ…。
また物語は一切の感情を排しているかのように淡々と語られ、それが余計に救いのなさを感じさせる。
「苦手」「私には無理」と言い捨ててしまいたい気持ちもあるけど、橋の下を流れていく長靴が目に焼きついて離れない。
考えたくないのに気がつくと考えてしまっている。二人の少女のことを。その母親のことを。彼女らの空疎な人生を。