りつこの読書と落語メモ

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通話

通話 (EXLIBRIS)

通話 (EXLIBRIS)

★★★★

『通話』―スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と“僕”の奇妙な友情を描く『センシニ』、第二次世界大戦を生き延びた売れないフランス人作家の物語『アンリ・シモン・ルプランス』ほか3編。『刑事たち』―メキシコ市の公園のベンチからこの世を凝視する男の思い出を描く『芋虫』、1973年のチリ・クーデターに関わった二人組の会話から成る『刑事たち』ほか3編。『アン・ムーアの人生』―病床から人生最良の日々を振り返るポルノ女優の告白『ジョアンナ・シルヴェストリ』、ヒッピー世代に生まれたあるアメリカ人女性の半生を綴る『アン・ムーアの人生』ほか2編。

アルゼンチンの作家ときいて一番に思い出すのがマヌエル・プイグ。もう大好きな作家なんだけど、プイグに比べるとこちらはずいぶん乾いた印象。どちらが好みかといえば圧倒的にプイグなんだけど、これはこれで面白かった。

特に好きだったのが、売れない作家と成功した作家の奇妙な関係を描いた「通話」。売れない作家の方の気持ちの揺れがものすごくリアルで、だんだん常軌を逸していくようなところがまるで自分のことのようで怖い。でもちょっと笑える。最後のシーンがすごくいい。