りつこの読書と落語メモ

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幻影の書

幻影の書

幻影の書

★★★★★

救いとなる幻影を求めて――人生の危機のただ中で、生きる気力を引き起こさせてくれたある映画。主人公は、その監督の消息を追う旅へ出る。失踪して死んだと思われていた彼の意外な生涯。オースターの魅力の全てが詰め込まれた長編。オースター最高傑作!

面白かったーー!
私は難しいことはわからないけど、小説としてものすごく面白かった。なんか久しぶりにポールオースターを読んだんだけど、こんなに面白かったっけ?オースターって。

家族を失い失意のどん底にあった主人公デイヴィッドが、ある日テレビでとある無声映画を見る。映画の監督と主演をつとめていたのがヘクター・マンという男。生きる意味を失っていた自分を笑わせたヘクターのことが頭から離れなくなったデイヴィッドはヘクター・マンについて調べあげ本を書き上げる。それが自分が正気を保つための唯一の方法だったのだ。
本が出版され、しばらくたったある日、彼のもとに手紙が届く。それは失踪して死んだといわれていたヘクターの妻からの手紙だった…。

主人公デイヴィッドの物語とヘクターの物語の両方が絶妙な感じでシンクロしていて、2つの人生をいっぺんに生きたような不思議な感覚におそわれる。
またヘクターの作った映画についてこと細かく語られるのだが、これがもう実に面白いのだ。実際に自分が映画を見ているようで、わくわくしたりドキっとしたりひやっとなったり…すごく楽しい。

以下ネタバレ。







これだけドラマティックだとこの物語自体も映画のようで、もう映画のようになんでもあり?とも思えてくるのだが、実にまっとうな?ラストで、そこがなにより好きだ。
最後の一行にしびれた。