ある英国人作家の偽りと沈黙
★★
- 作者: ペネロピライヴリー
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1995/04
- メディア: 単行本
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伝記作家マーク・ラミングは、20世紀前半に活躍した作家ギルバート・ストロングの伝記執筆にとりくんでいる。ストロングについてはだれよりも知り尽くしているつもりだったが、存命の知人たちの証言はさまざまに食いちがい、その生涯には何の手掛かりもない沈黙の部分があった。ストロングの実像はとらえどころがなく、マークの目には、彼が真実を隠蔽しようとあらかじめ仕組んでいたかに見えてくる。そして、ふとした偶然から、マークは、ストロングがひた隠しにしていた事実、彼の意外な側面を知って、衝撃を受ける。個性的な登場人物を生き生きと描き、歴史が語らない人間の真実を浮き彫りにしてゆく、魅力あふれる作品。
こちらは「イヴ・グリーン」とは逆に、期待しすぎただけにがっかりしてしまった。写真が出ないけど、これすごく表紙の写真が素敵なのだ。そしてブッカー賞受賞作家。それにこの題名。これはきっとものすごくドラマティックな物語なのだろう!と思って読んだのだが、期待したほどにはドラマティックではなく…。
伝記作家のマークがギルバート・ストロングという作家の伝記を書くために、ストロングがかつて住んでいた屋敷ディーン・クロスを訪れるところから物語は始まる。そこでは彼の孫娘キャリーが園芸センターを経営していた。マークは本もろくの読んだことがないキャリーに徐々に惹かれはじめ、またいろいろ調べていくうちに、ストロングが隠してきた過去を知ることになる…。
ストロングの隠された過去が明らかになっていくという物語がドラマティックに展開されていくのだろうと思い込んでいたので、前半のマークのキャリーへの想いのぐだぐだ加減にかなりイライラしてしまった。ええ?なに?そっちがメインなの?と…。
なにより主人公であるマークに魅力が感じられなかったんだよなぁ…。自分は結婚していて、若いキャリーにふらふらっとなって、それをキャリーに告げるところがよくわからん!「君のことを好きになっちゃったんだけど、どうしてくれる?」って…。はぁ?
前半で描かれている、マークの淡い恋とストロングへの理解(理解しきっているという思い込み)が、後半で覆されていくんだけれど、そこもちょっと私にはそれほど意外にも感じられず…。うーん…。
ちょっと私には渋すぎる小説であった…。