りつこの読書と落語メモ

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*ソロモンの犬

ソロモンの犬

ソロモンの犬

★★★

さっきまで元気だった陽介が目の前で死んだ。愛犬はなぜ暴走したのか? 飄然たるユーモアと痛切なアイロニー。青春ミステリー傑作

「シャドウ」の感想で、さんざん深みがないだのなんだの言っていたくせにまた読む。なんだかんだ言って嫌いじゃないんだ、こういう小説。例えば1週間に1冊しか読んじゃいけないとなったら読まないけれど無尽蔵に読んでもいいのだったら月に1冊ぐらい読みたい、っていう感じ。ってなんか作者の方にとてつもなく失礼な言い草だな…。読んでいる時のわくわく感、やめられない止まらない感は相当高いのだ。だけど最後まで読んで得られる満足感はそれほど高くないんだなぁ。余韻ゼロっていうか。って書けば書くほど墓穴を掘っているような気がするのでこのくらいにしておこう…。

主人公秋内は自転車便のバイトをしている大学生。不器用で女にもてないけれどすごくいいやつだ。彼とは対称的にクールで女の子にもてもてなのが友江。彼にはひろ子という彼女がいる。ひろ子の親友である智佳に秋内は淡い恋心を抱いている。
とまるで青春ドラマのようなさわやかな設定なのだが、ある日彼らの大学の助教授である椎崎の長男陽介が事故にあう。たまたま事件を目撃した秋内。陽介の愛犬オービーが路上で走り出し陽介は引きづられるような形で交通事故にあってしまうのである。
ただの事故に見えたのだが、その時見かけた友江の様子がどうしても頭から離れない秋内。そしてしばらくすると陽介の母である柿崎が自殺する。彼女の死体を発見したのが友江。
二人の間に何があったのか。陽介の事故も実は殺人だったのか。

「シャドウ」は、トリックに走るあまりに人物が…と思ったのだが、これは人物は結構魅力があったけどトリックは…と思わなくもなかった。
いやでも良かったけどね。後味もいい。うん。嫌いじゃないな。だからきっとまた他の作品も読むだろう。