りつこの読書と落語メモ

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アメリカ新進作家傑作選 2006

アメリカ新進作家傑作選〈2006〉

アメリカ新進作家傑作選〈2006〉

★★★

家族・愛・戦争......様々な人間ドラマを、若き作家たちが、洞察力鋭く描き出す!アメリカ文学界で、今後が大いに期待される新人作家たちを年度版で紹介。BEST NEW AMERICAN VOICESシリーズ、待望の邦訳第4弾! ピューリッツァー賞受賞作家が太鼓判を押す、若き作家たち15人を一挙に紹介!

収録作品(「休職期間」ジェニファー・シャフ/「リンドン」 アンバー・ダーモント/「新たな引力」 アンドリュー・フォスター・アルトシュル/「さび止め」 ジェシカ・アンソニー/「トランポリン」 ヴァニヤ・レイノヴァ/「ウォーターマーク」 メラニー・ウェスターバーグ/「役に立たない飾り、あるいはエスクワイア誌の「三十歳を過ぎた男の禁止事項」」 アルバート・E・マルティネス/「ジュピターズイン」 サラ・ブラックマン/「アリスの家」 ジェイミー・キーン/「自由の女神」 マット・フリードソン/「双子未満」 グレゴリー・プレモンス/「逆火」 ミシェル・レガラード・ディートリック/「アウトラインから始めなさい」 カウイ・ハート・ヘミングス/「ラブリーを追って」 ショーン・エニス/「パイロット」 サイアン・M・ジョーンズ )

新進作家たちを紹介する「アメリカ新進作家傑作選」シリーズ。大学の創作教室の生徒が書いた作品集らしい。紹介されているのは知らない作家ばかり。だけどこれまでにこのシリーズで紹介された作家の中には、「観光」のラタワト・ラプチャロンサップの名もあったりして、期待の新人作家を発掘する、青田刈りする(?)にはもってこいのシリーズとも言えるかもしれない。

青田刈り!と鼻息荒く読み始めたわりには、「う、うーん…ちょっと微妙…?」と読み飛ばしてしまった作品も少なくない。
でも中には「おおっ。この作家は面白いのでは!!」と作者の経歴を読み直した作品も幾つか。
DVの被害者たちが駆け込むシェルターで警備員をしている男の視点から描かれた「新たな引力」は、緊張感のある文章で彼らが抱く恐怖や無力感がひたひたと伝わってきて、この人が今書いている長編というもの読んでみたいと思った。
ジャングルの小屋の中でアメリカ軍のためにサビ止めの調査を行っている男が、徐々に精神の均衡を失っていく「さび止め」は、ありがちなテーマではあるけれど独特の雰囲気や恐ろしさがあってなかなか良かった。
「逆火」「ラブリーを追って」は私にはちょっと厳しすぎる作品だったけど、きらりと光るものを感じた。(ってなんかえらそうだな、おい…)

いやしかしこれはほんとに個人的な話になるけれど、このところ私は短編やアンソロジーを読みすぎたかもしれない…。明らかに短編擦れを起こしている。短編独特のテイストに飽きてきている。これはなんだか自分でも勿体無いことであるなぁ、という気がする。しばらく短編断ちをしてみようかしらん…。いやでも私の読みたいリストの中から短編を消去していったら、かなりの本が消えていくだろう。短編をあえて避けて読み続ける、というのはなかなか難しいことなのだ。それだけ短編集というのが世の中で多く読まれているということなのだろうな。