りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

幻想と怪奇 おれの夢の女

幻想と怪奇 おれの夢の女 (ハヤカワ文庫NV)

幻想と怪奇 おれの夢の女 (ハヤカワ文庫NV)

★★★★

「棄ててきた女」を読んだ時に、面白い!と思った作家の中にジェラルド・カーシュがいた。ジェラルド・カーシュで検索して出てきた本の一冊がこれ。「ラピスラズリ」でちょっと疲れた頭を休めようと読んでみた。

人には、絶対にしてはいけないことがある。神を超越しようとすること、背徳の愉しみを得ること、自然の摂理に反すること…そして、その禁忌を破ったとき、恐怖が襲いかかる!未来を知る手段を手に入れた夫婦に見舞った恐怖を描くリチャード・マシスンの表題作や、鬼才フレドリック・ブラウンの筆が冴える「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」など、比類なき名手たちが競演する、傑作ホラー短篇13篇を収録。
【収録作品】アイネ・クライネ・ナハトムジークフレドリック・ブラウン 著)/ もう一人の子供(オーガスト・ダーレス 著)/エステルはどこ?(エイヴラム・デイヴィッドスン 著) /こころ変わり(ロバート・ブロック 著)/ 墓碑銘 (ブラッドリイ・ストリックランド 著)/週末の客 (L.P.ハートリイ 著)/海への悲しい道 (ジェラルド・カーシュ 著)/死人使い (レイ・ブラッドベリ 著)特別配達 (ジョン・コリア 著)/子守唄 (チャールズ・ボーモント 著)/牝猫ミナ (ジャック・ヨネ 著)/特殊才能 (シリア・フレムリン 著)/おれの夢の女 (リチャード・マシスン 著)

怪談のアンソロジーってすごくたくさん出ているんだなぁ…。それだけ需要があるってことなんだろうか?この「幻想と怪奇」は全3巻から成るシリーズで、他の2冊も面白そうだ。時代的には1950年〜1960年ぐらいの作品が収められていて、ホラーといってもどことなく古き良き時代といった感じが漂っていて、安心して読める作品ばかりだ。(安心して読めるホラーって…?)

最初におさめられた「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(フレドリック・ブラウン 著)は、音楽の天才で自分の音を求めて世界中を旅をしていたクラリネット奏者が究極の音に出会って…という話。はじめて読むのにはじめてではない感覚…。古典的なテーマなのかしらん。
「もう1人の子供」(オーガスト・ダーレス 著)は、絵画怪談だが怪談というよりは幻想的な物語といった感じ。これ好きだなぁ…。
ロバート・ブラックの「こころ変わり」も怪奇だけど怖いだけじゃなく美しさと切なさがあって好きだったな。
ジェラルド・カーシュの「海への悲しい道」。これも良くある話のようではあるんだけど、追い詰められた主人公が「海に行きたいなぁ…」と何度もつぶやくのがとても印象的で心に残る。
そして悪夢の話が2つ。「特殊才能」(シリア・フレムリン 著)と「おれの夢の女」 (リチャード・マシスン 著)。 これも前にどこかで読んだことがあるような話なんだけど、読み終わってからもなんかこういうことが自分に起きても不思議じゃないような気がしてひたひたと怖い…。