りつこの読書と落語メモ

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ケイティの夏

ケイティの夏

ケイティの夏

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主人公は12歳の少女ケイティ。夢見がちでおっちょこちょいでまだまだ幼い。父親は軍人。厳格で無口で弱みをみせず、自分が気に入らないと娘たちを容赦なく殴りとばす。一家の緩衝役であった母親が病死して家族はぎくしゃくしてしまう。

姉のダイアンは、ボーイフレンドがいて、大人への一歩をふみだしている。当然ダイアンと父親は激しくぶつかりあう。ダイアンにとって、父と暮らす毎日は、「自分がサンドバッグにされてうちのめされる」日々なのだ。

ケイティには姉の全てを理解する事はできない。姉はいつも自分よりも何歩も先を歩いていて、決して追いつく事ができない存在なのだ。

ケイティも父を恐れている。ケイティは母が生きていた頃のことを思い出さずにはいられない。母が死んだということがなんだか「悪い冗談」のように感じられてしまうのだ。

時折、母の包み込むような優しさをふっと思い出すときがある。天使のわっかをつけて微笑む母が見える時もある。ケイティだけでなく、大人ぶってる姉も、君主のような父も、みな母を失った喪失感を感じている。しかしそれは「触れてはいけないこと」なのだ。

ケイティはいつも父に聞きたいと思っている。母はどうやって死んだのか、彼女達の事をどう言っていたのか、母は幸せだったのか。でもそれを父に尋ねる事はできない。父に殴られる事が恐い、それ以上にすべてが崩れてしまうことが恐いのだ。

姉と父の衝突を軸に、ケイティと隣に住む2つ年上の親友、その母ベルとの関わりが、淡々とそしてユーモラスに描かれている。

母を想うケイティの気持ち、ケイティを想う母の気持ち、娘たちにじょうずに愛情を表現できない父の気持ち、それらがすべて悲しくて、愛しくて、泣けました。

これがエリザベス・バーグのデビュー作品。好きだなあ、この人の作品。自分が母親になって、より好きになったかもしれないな。