りつこの読書と落語メモ

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あたし、きれい?

あたし、きれい?

あたし、きれい?

★★★★
著者はドイツ人の映画監督。ちょっと意地悪ででも憎めない女性の話を集めた短編集。

表題作の「あたし、きれい?」は、容貌の衰えだした(とくにおなか!)母と大人になりはじめた娘の話で、遺産を相続して以来家族の中でイニシアチブをとりはじめた母が、フロリダに家を買おうと、家族を巻き込んで不動産めぐりをする物語。

どうやらこういう不動産めぐりは今にはじまったことではないようで、家族はかなり冷ややか。この母が結構強烈なキャラクターなんだけれど、なんかおもしろ悲しいんだ。

「あたし、きれい?」っていうのは、この母親がかなり見るに耐えないようなビキニ姿の女性を目にするたびに、「私もあんなふうに見えやしないわよね。大丈夫?正直にいって。」というところからきている。

こうやって聞くっていうのは、ちょっと心配しつつも、でも自分ではまだまだイケてると思っているわけで、そう言われるたびに家族が味わうバツの悪い感じがひしひしと伝わってくる。

このほかにも、清貧、純情可憐に見えて採用したベビーシッターの少女が、結構したたかで、徐々に本領を発揮していく話、セラピーあらし(?)の女性の話、など。

どれもにやりとするような話が多くて、でも毒気が多すぎないところが、なかなか絶妙。