りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭3月下席夜の部

3/30(金)、末廣亭3月下席夜の部に行ってきた。


・松鯉「赤穂義士伝外伝 天野屋利兵衛」
・文月「ざる屋」
・米福「やかんなめ
・歌春「鈴ヶ森」
・蝠丸「浜野矩随」

 

松鯉先生「赤穂義士伝外伝 天野屋利兵衛」
松鯉先生は決して大きな声を張り上げたり汗を迸らせたりしないけれど、メリハリがあって物語の中に引き込まれる。
うーん、かっこええ…。
でも忠義を守るためには女房子供は犠牲になっても致し方なし、というのが武士の世界の常識なのね…。むーん。

蝠丸師匠「浜野矩随」
父親が偉大すぎると息子は大成しない。いつも比べられ自分でも「おやじにはかなわない」と思うと萎縮してどんどん下を向くようになってしまう。
そんなまくらから「浜野矩随」。

うとうとしながら彫っていて馬の脚が3本になってしまっても、若狭屋さんならどんなものを持って行っても買ってもらえるからと持って行く矩随。そこには自分はどんなに頑張っても父親のようには到底なれないという諦めを感じさせる。

いくらなんでも甘えすぎだろうと怒り出し決定的な言葉を投げつけてしまう若狭屋さんも決して悪い人ではなく言葉が過ぎただけというのも伝わる。

それを聞いた母親が「若狭屋さんならそれぐらいのことは言うだろう」と静かに納得するのも、また自分の命を懸けて息子に本物の仕事をさせようと「私のために観音様を彫っておくれ」と言うのも、母親の静かな覚悟をにじませていて、じーん…。

母親がこのあとどうなるかというところ、蝠丸師匠の展開、好きだなぁ…。
厳しい噺だけど全体的に優しさがあふれていたのは母親と若狭屋の見守る視線が感じられたから。

とてもよかった。

いつものように幕が下がってからも「ありがとうございました。」と喋りつづけている蝠丸師匠。「アンコールはありません。アンコールはありません」言っていたんだけど、なぜかここで幕が再び上がるサービス(笑)!
私たちも驚いたけど蝠丸師匠も驚いてたのがまたおかしくて。
「今日は暗い噺ですみません。また次は楽しい噺をしますので」という言葉もおかしくて、最高。
楽しかった。