りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さいはての家

 

さいはての家 (集英社文芸単行本)

さいはての家 (集英社文芸単行本)

 

 ★★★★

家族を捨てて駆け落ちした不倫カップル(「はねつき」)。逃亡中のヒットマンと、事情を知らない元同級生(「ゆすらうめ」)。新興宗教の元教祖だった老婦人(「ひかり」)。親の決めた結婚から逃げてきた女とその妹(「ままごと」)。子育てに戸惑い、仕事を言い訳に家から逃げた男(「かざあな」)。行き詰まった人々が、ひととき住み着く「家」を巡る連作短編集。 

 田舎の庭付き一戸建ての古い貸家。家がトラブルを呼ぶのか訳ありの人がこの家に吸い寄せられるのか。

殺したネズミがゴミ箱の中でたてる音、なんとはなしに付き合っていた恋人に感じる違和感と恐怖。
最終話で「比較的心安く付き合えそう」と思っていた会社の同僚から漏れ出てきた何か。うぎゃぁーーと声を上げたくなるようなおぞましさをちらりと見せながらもどこかハートウォーミングなところもある。

5話のうちどれが好きだったかなと見直すとどれも嫌いだけどどれも好きという不思議。
なんか面白い作家さんだなぁ。他の作品も読んでみよう。