りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

国書刊行会40周年フェア

国書刊行会40周年おめでとう!パチパチパチパチ。
というわけで国書刊行会40周年フェアに行ってきたのだ。フェアでもらえる小冊子「私が選ぶ国書刊行会の3冊」目当てでね。
これが無料でもらえるなんて…。ブラボー!
薦められると全部読みたくなる〜。そして僅少本と言われると全部買いたくなる。冊子と目録があれば、もう何時間でも時間がつぶせるよ。あれを読もうかこれを読もうか、宝くじあたったらこの全集を1から揃えるか…。(にやにや)

そして私が買ったのがこれ。
僅少本と言われると買っちゃうよねぇ…。もともと稀少じゃない本も持ってるわけじゃなくてもねぇ…。と、世界幻想文学大系「原題ドイツ幻想短篇集」を。
バベル図書館は旧版が「僅少」ラベルで何冊か置いてあったけど、やっぱり揃えるなら新版かなぁと。

あまり出版社を意識して読むようなことのないぼんやり読者な私でも国書刊行会には思い入れがある。
多分一番最初に意識したのは、プイグの「天使の恥部」を読んだ時だったと思う。

これは当時行っていたプロジェクトがヤバイ状態になってきた時に別の部署からめちゃくちゃ優秀で人間的にかなり強烈という噂の課長(Fさん)がヘルプで入ってきたのだが、そのFさんが本を読んだりライブに行くのが好きな人で妙に気が合ってそういう話をするようになったのだ。
そのFさんが「これ俺が挫折した本なんだけど読んでみない?」と手渡されたのがこの本。
「もうわけわかんないんだよ。話がどんどん飛ぶし現実と夢がごちゃまぜになるし何の説明もないし。挫折するのは悔しいと思って無理して読んでいたんだけどもうだめだ!!と思って読むのやめたの。表紙エッチだけど中身はそんなにエッチってわけじゃないから。でもまあまあエッチだけど。ま、それも含めて読んでみて。」

それまでそんなにわけのわからない小説を読んだことがなかったので、なになに?と思って読み始めたんだけど、これが確かに今まで読んだことないような本で、Fさんがしおり代わりにクリップで留めていたので、「ああ、ここで挫折したんだな」というのがわかってそれがもうめちゃくちゃおかしくて。
読み終わってから、これはなんという作家?どこの国の人?どういう出版社が出してるの?と思って出版社名を確認したのだ。
それから私のプイグ好きが始まり「変な小説」好きが始まったのである。

翻訳本好きが進むにつれ、変ちくりんな本を出版してくれる国書刊行会ブラボー!と思うようになった。
本屋さんで国書刊行会の棚をにやにや覗いて「また変な本を出してる。にゃははは」とほほ笑む。絶対すごい志を持ってるよねこの出版社!と思うと、無性に応援したい気持ちになるのである。

で、私はいったい今まで国書の本を何冊ぐらい読んでいるんだろうか、と記憶の範囲でかき出してみた。

41冊かー。好きだと言うわりにたいして読んでなかったんだな…。
でも確かにバベルの図書館も書物の王国も世界幻想文学大系もノーチェックだもの。それで国書刊行会が好きなんて言っちゃいけなかったんだー。うわーん、ごめんなさーい!だーっ!(走り去る)

でこの中から私の選ぶ3冊をば。「精霊たちの家」 (イサベル・アジェンデ)、「天使の恥部」 (マヌエル・プイグ)、「カチアートを追跡して」(ティム・オブライエン)。
どれも読んで自分の前に新しい世界がばーん!と広がった、フィクションの力を見せつけられた作品だなぁ。

いやしかしハードル高いよねぇ。書物の王国も世界幻想文学大系も…。
めちゃくちゃ分厚いし値段もお高いし字も小さいし読むのにド根性が必要そう。
でもなんかガッツが沸くよねぇ〜。 会社辞めたらこれらの全集を1巻から順に読んでいくか!なんて思ったり。
逆に会社辞めないでまだあと10年ぐらい働いたら(想像できないけど)、これらの全集をばーん!と揃えちゃうか!と思ったり。(絶版になってる本は揃えられないだろうが)
まあそんなふうに自分の前に立ちはだかる存在があるってすごく素敵だ。まだまだ読んでなくて読みたい本がたくさんあるってことがわかって、ぶるぶるっと武者震い。

これからもがんばって変な本をたくさん出してください。国書刊行会様!