りつこの読書と落語メモ

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高慢と偏見とゾンビ

高慢と偏見とゾンビ(二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

高慢と偏見とゾンビ(二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

★★★★★

18世紀末イギリス。謎の疫病が蔓延し、死者は生ける屍となって人々を襲っていた。田舎町ロングボーンに暮らすベネット家の五人姉妹は少林拳の手ほどきを受け、りっぱな戦士となるべく日々修行に余念がない。そんなある日、近所に資産家のビングリーが越してきて、その友人ダーシーが訪問してくる。姉妹きっての優秀な戦士である次女エリザベスは、ダーシーの高慢な態度にはじめ憤概していたものの…。全米で誰も予想だにしない100万部を売上げた超話題作、ついに日本上陸。

これを読むなら「高慢と偏見」を読んでおかないと、と思いこの間再読したんだけど、正解だった。
こんなにも「高慢と偏見」度数が高い!とか、そこでゾンビ?とか、出た!ガイジンの間違った日本知識!とか、ニンジャ弱っ!とか、細部にわたって楽しむことができて大満足〜。
やはり楽しむためには手間を惜しんじゃイケマセン。>特に私のように記憶力が鳥以上にお粗末な人の場合。

ストーリーは原作に非常に忠実に展開する。
18世紀イギリスの雰囲気も大仰に思える会話もいきいきと魅力的な登場人物たちもそのまま。
唯一違うのは、村にはゾンビがはびこり、べネット家のお嬢様たちは少林寺拳法の訓練を受け、ばっさばっさとゾンビどもを倒していくのである。
特に主人公であるエリザベスの腕前は群を抜いており、それが彼女の頭のよさや辛辣さと相まって、非常にかっこいいのだ。
またゾンビをどれほど倒してきたかというのが男の甲斐性だけでなく、女のたしなみをはかる基準となっているのも面白い。

エリザベスの親友シャーロットがコリンズを選ぶエピソードは、原作でも結構ショッキングだが、こちらでは「シャーロットよ、そうだったのか!」と納得させられてしまうところが、おかしい。
そして、ダーシーの一回目のプロポーズやレディキャサリンとの対決が、とてもバイオレンスなのが笑える!

こういうキワモノ小説?ってあまりにおふざけがすぎると鼻についてしらけてしまうのだけど、これは非常に原作に忠実でまじめにふざけているのでそこがいい。 ちょいちょいゾンビが出てくるけど、あまり無理がないのでフツウに受け止められてしまったり。
本編がおふざけ抑え目だっただけに、巻末の読書の手引きが効いている!
こういうバランスってなかなか難しいよね?

この小説がミリオンセラーになるというのは、きっとそれだけ「高慢と偏見」が有名で誰からも愛されているからなのだろう。
日本だったら何だろう?源氏物語竹取物語忠臣蔵
企画を考えるのも楽しそうだ。