りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

津村記久子「やりなおし世界文学」

 

★★★★★

本について書いてある本が好きで、特に作家さんが書いたものが好き。
しかもテーマが「世界文学」でいわゆる古典や名作と呼ばれる作品が取り上げられているのがめちゃくちゃ嬉しい。
1作品に付き上下2段で約3ページでぎゅっとまとめられているので読みやすいのもありがたい。

こういう本を読むと自分の読みたい本リストがまたどんどん増えていくんだけど、この本を読むと、以前挫折した作家の本(ヴァージニアウルフやフォークナー)も再チャレンジしてみようかなと思えたし、普段だったら敬遠する系の本も読まないわけにはいかないなという気持ちにさせられる。


例えば、ウィリアム・フォークナーの「響きと怒り」について。

内容そのものはだめ一家の没落を描く「知らんがな」なのだが、それを語る手法は工夫に工夫が凝らされている。

あ、そうそう。なんかどうでもいいと思えるような内容が回りくどく書いてあってなになになに?あーーもうーーなんかイライラするーってなって挫折したんだ。でもそうか「知らんがな」だったんだわ、あれって。
そうと分かったらもしかして「知らんがな」って呟きながら案外楽しく読めるかも?みたいな気持ち。

 

G・ヴェルガ「カヴァレリーア・ルスティカーナ 他十一篇」

悲惨な話ばかりなのに、本書はなぜか生きる気力さえ呼び覚ます。「この人たちよりはまし」ではなく「何をしていたのだ」とはっとさせられる。自分たちの数代前には、おそらくこんな人生が山のようにあった。その先に自分たちがいるのなら、報いをあてにしなくても生きる力は備わっているのではないかと、本書は気づかせるのだ。

もうそんなこと言われたら読むしかないですやん…。

 

キラーワードの連発で、切れ味鋭く魅力をズバッと伝えてくれるからどの本も読みたくなるし、津村さんの励ましがあれば読み進められる気がしてくる。

また作家ならではの視点というのもあって、なるほど…そういう視点で文章を読むのかと楽しくなる。


トルーマン・カポーティ「遠い声 遠い部屋」

どんなものでも、カポーティが「こう書こう」という意志を持って描写し、言語化されたものであれば、その文はカポーティのヴィジョンを忠実に映し出す。


自分には読めないのではと思って避け続けていたSFも読んでみたくなる。


R・A・ラファティ「九百人のお祖母さん」

毎秒ごとに吸い込ませられる情報の文脈を人間が頭の中で保つことが困難になってきている状況の中、それに付け込んで発言の撤回も一貫性や原則の放棄も平気でやらかす政治的な勢力が増殖している現代において、おそらく発表された当時以上にリアリティが増していると言っていいと思う。あまりに今の理不尽とリンクしているような内容に、読んでいて泣けてきた。

また本の紹介だけでなく、自分が本を読むようになったきっかけや「こういう物語が好き」「この小説が自分の原点」というような話も盛り込まれていて、自分と本との関わり方を考える機会にもなった。

メモを取りながら楽しい読書だった。これは手元に置いておきたい本。