りつこの読書と落語メモ

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アメリカン・マスターピース 古典篇(柴田元幸翻訳叢書)

アメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書)

アメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書)

★★★★

アメリカ文学史がはじまった時点から、19‐20世紀の世紀転換点までに書かれた短篇のなかから、編訳者が長年愛読し、かつほとんどの場合は世に名作の誉れ高い作品ばかりを集めた、ザ・ベスト・オブ・ザ・ベストの選集。

渋い。
柴田元幸さんは大好きなホンヤクカだけど、色気のない作品が好きだよねぇ、という印象がある。ここに収められた作品も、体温の低いおよそ色気とは無縁な作品ばかり。
趣味が合わないわーと思いながらも、自分が好んで読むような作品たちでないだけに、お得感がある。

一番印象に残ったのはメルヴィルの「書写人バートルビー」かなぁ。
前向きさを強要されると反射的に反発したくなるのだけれど、なにもしない、動かない、そんな生き方を選択した人間を前にしたらものすごく動揺し卑屈な態度をとってしまいそうな気もする。
以前この作品をベースに書かれた「バートルビーと仲間たち」を読みかけて挫折したことがあるのだが、もう一度チャレンジしてみようかな。

ホーソンの「ウェイクフィールド」、ヘンリー・ジェイムズの「本物」も面白かった。
まるで古さを感じさせないのは、人間の不可思議さというのは今も昔も変わりがないからなのかもしれない。
寒々とした作品が多かったが面白かった。「古典篇」というからには古典じゃない篇も発刊予定なのかな。注目したい。