★★★★★
奇譚・推し活・ちょっとSF!?
デビュー作ながら、韓国で14刷突破!
3か国語で翻訳された、話題の短篇小説集。初の邦訳!
気鋭作家イ・ユリが描く、優しさとユーモアが漂う独特世界。
ある朝、彼氏の手がブロッコリーに…!
日常にひょっこり顔をだす、不思議な出来事。
へこんでいた心をスカッと救う8つの物語。
初めて読む作家さん。
タイトルに惹かれて読んだんだけど、これがもうめちゃくちゃ好みで、好き好きー!と大興奮。
「赤い実」
闘病していた父が亡くなるのだが、亡くなる前に「火葬後の遺骨は植木鉢に埋めてくれ」と頼まれていた「私」。
花市場で黒付きとヒョロヒョロにやせ細った木を買ってきて、土と遺骨を混ぜて骨箱に入れてベランダに置く。
しばらくほったらかしにして忘れていたんだけど、ある日ベランダから父の声で「水!」。
それからは水をやったり日の当たる場所に植木鉢を移動させたり、父の要望でテレビを見せたり…しばらくすると父が「散歩に出たい」と言い出して…。
なんてことない日常にひょっこり紛れ込んでくる不思議な出来事。このひょっこり感が好きなんだー。
木になった父親の変な要望をまずは聞こえないふりをしたり「できないよ」と断ったりする「私」なんだけど、そのたびに父親が彼女が小さい時にプールで溺れた話を持ち出すのも面白いし、散歩先で出会うPという青年がなんとも不思議でチャーミングで好き。
韓国で映画になったと書いてあったけど、どんな映画?!気になる。
「ブロッコリーパンチ」
表題作。
ある朝、職場(介護職)でお世話をしているお婆さんから飼っていたオウムが死んだというメールと恋人から(ボクサー)右手がブロッコリーになったとメールが届く。
彼氏を連れて病院に行くと待合室にいた他の患者さんたちが「あら、ブロッコリーになってる人を久しぶりに見たわ」と集まってくる。
診察を受けて薬をもらって帰ってきた後、今度はおばあさんの家に行き、おばあさんの恋人と3人でオウムのお葬式をする。
彼氏の右手の話をするとおばあさんの恋人が「それなら山に登って歌を歌うといい」と言ってきて、4人で山登りをすることに…。
困ったことが起きた時、そのやり方が合ってるかどうかは別にしても、「それなら一緒に山登りをしよう」と自信満々で言ってくるおじいさんの知り合いがいたら、心強いだろうなぁ…。
出てくる人がみな愛おしくてこの世界に留まっていたくなる。
「イグアナと私」
これも好きだったー。
元カレ(ですらない)が置いて行ったイグアナを仕方なくお世話する「私」。
酔っぱらって帰った夜にふとイグアナを水槽から出して撫でてみたら…。
ラストが良いーー。
この作者のひょっこり幻想は「イ・ユリ・ユニバース」と呼ばれているらしい。
他の作品も読んでみたい!翻訳されますように!
