りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

西村賢太「瓦礫の死角」

 

★★★★

父親の性犯罪によって瓦解した家族。その出所が迫り復讐を恐れる母。消息不明の姉。17歳・無職の貫多は……。傑作「私小説」4篇。

性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはまだ早い」の全四篇を収録。

全4篇収録されていて2篇目を読んだ時に、あ!読んだことある!と思った。
1篇目にも既視感はあったんだけど、母親との関係は以前の作品でも触れられていたんだっけ?と思ったのだった。
このブログを検索したらやはり読んでいて 、私の記憶よ…。私が手に取りそうなタイトルなのよねぇ。


2篇目を読んで前回読んだ時には感じなかった「可哀そうだな」という感情を抱いてしまったのは、露悪的に描かれているけど傷つくことが怖くて殻に閉じこもって虚勢を張っている姿が見えたから。
作者自身もこうやって強がって悪ぶって生き延びてきたんだろう。

それにしても早すぎる死。長生きしてもっと書いてほしかった。嫌な爺になった西村賢太も見たかった。