★★★★
夫婦あわせて、もうすぐ180歳。中年となった3人の息子たちは、全員独身――。
明石家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。妻は、散歩先での夫の浮気をしつこく疑っている。
長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男はしっかり者の、自称・長女。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。
……いろいろあるけど、「家族」である日々は続いてゆく。飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に沁みる、現代家族小説の白眉。解説・木内昇
老人小説!笑
主人公の新平は89歳。朝は布団の上で45分間ストレッチをし、健康のための独特な朝ごはんを食べ、3時間ぐらいかけて散歩をする。
1駅分ぐらいを歩きながら、気になった建築物を観察したり入ってみたり、喫茶店でコーヒーとサンドウィッチを食べたり洋食を食べたりする。
88歳の妻は少しボケてきていて新平の散歩を「また女に会いに行くのか」と罵り、子どもや親せきに愚痴をこぼす。
3人いる息子のうち長男は引きこもり、三男は事業に失敗して帰ってきてぐうたらしていて、唯一家を出て仕事をしている次男は「長女」を名乗り女装している。
読み始めた時は「私はいったい何を読まされているんだ?」と思ったけど、読み進めるうちにだんだん面白くなってきた。
新平は結構なエロ爺だし大正生まれだから家庭内でえばっているけど、現実を逆らわず受け入れていてその呑気さに笑ってしまう。怒らないところが気に入った。
毎回妻にぬれぎぬみたいなことを言われよく爆発しないなと思っていたら、実際若い頃浮気(というには長すぎるし真剣だった分、妻が根に持つ気持ちもわかる)してたんかーい。
でも変に取り繕わないところが憎めないし、妻が倒れた時の対応も正しくはないんだけどなんかいいなぁと思った。それ以上に良かったのは次男だけど。
面白かった~。
続編もあるみたいだからいつか読んでみよう。
終わり方だけなんか漫画っぽくて好きじゃなかったかな。
