りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」

 

★★★★★

【第172回芥川賞受賞作】
高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。
ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。
ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。
若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!

芥川賞受賞作品ということで読んでみたんだけど、アカデミックミステリー?なんかとっても新しい。

前半は学術的な内容も多くて、こういう蘊蓄とかアカデミックな雰囲気をゆったり楽しむ小説なのかなと思って読んでいたんだけど、謎解き的な要素もあるし、後半になって伏線が回収されていく面白さもあった。

家族の穏やかでお互いを思い合う温かさとか、主人公が静かに丁寧に思考を重ねていく様とか、学者仲間へのリスペクトとか、とても心地よくていつまでも読んでいられる。

知的で穏やかな雰囲気で、家庭内やそれまで出てきた人たちというわりと小さな世界で解決するところが、全然違うけど北村薫の小説(日常の謎を解く話)を思い出した。

これがデビュー作っていうことに驚くけど、次はどんな作品を書くのかがとっても楽しみ。 面白かった。