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他人の目を気にせずに自由奔放に生きるジェヒと、ゲイであることを隠して孤独に生きるフンス。
2人は互いの「自分らしさ」を励まし合うかけがえのない存在となっていく。
大学を卒業してもその関係は変わらないはずだったが、大切な友情に思いがけない危機が降りかかる……。
〈「国際ブッカー賞」「ダブリン文芸賞」にノミネート!〉
2020年代を代表する新しい韓国文学の〝顔〟として、最も将来が期待される作家として、大きな注目を集めるパク・サンヨンのベストセラー連作小説。
1作目が映画の原作であることを知らずに読んだ。
4つの短編からなる連作集。
「ジェヒ」
ゲイであることを隠して生きる生きづらさと唯一無二の女友だちと人生のステージが変わることによる別離が描かれる。
こんな風に一緒にいて心地よくて楽しくて分かり合える存在はめったに出会えないものだから、彼女が「行ってしまう」と分かった時に主人公が裏切られた気持ちになるのが痛いほどわかる。
それでもそのまま終わりにしないところに彼の…作者の優しさが伺える。
「メバル一切れ宇宙の味」
あー恋愛って厄介で嫌なもんだなぁ…というのがこれを読んでの感想。
好きになった相手の底の浅さや薄っぺらさは最初から分かっていたはずなのに、好きになると何も見えなくなる。自分で目をつぶってしまうし後から考えると頭を掻きむしりたくなるほど愚かになれる。
癌になった母親との関係もしんどくて、主人公が「こうなったのはあなた(母)のせい」と言いたくなる気持ちもわかる。親子ってしんどい。特に韓国だと日本以上に親子関係が濃いように見えるから、余計に見捨てたり縁を切ったりすることは難しいんだろうな。
そして愛憎の「憎」の方が強く思えていたとしても、実際に母が亡くなったら自分の体の一部を切り取られたような喪失感に苛まれるのだろう。
「大都会の愛し方」「遅い雨季のバカンス」
この作品が一番好きだった。
ギュホの魅力的なことといったら。
どうして彼はギュホの手を放してしまったんだろう。その手を放さずにいたらよかったのに。後日譚のような4作目の「遅い雨季のバカンス」を読むと余計にそう思う。あれこそが本当の愛だったのに、と。
韓国でゲイとして生きるのは日本以上に大変そうだなぁ。
以前何かの小説を読んだ時も同じ感想を抱いたんだけどなんだったっけ。
