りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

なかの満点座 師走のむかし家今松を聴く

12/13(金)、なかの芸能小劇場で行われた「なかの満点座 師走のむかし家今松を聴く」に行ってきた。
 
・枝次「ぞろぞろ」
・今松「薙刀傷」
・バトルロワイヤル風間 似顔絵
~仲入り~
・今松「芝浜」
 
枝次さん「ぞろぞろ」
だいなも改め枝次さん。百栄師匠のお弟子さん。
身体が大きくて大味そうだけど決してそんなことはなく、テンポもいいし口調もよくてとっても楽しかった。
百栄師匠のお弟子さんだからいずれは新作もやるのかな。楽しみな前座さんだな。
 
今松「薙刀傷」
初めて聴く噺!と思ったら、以前珍品の会で小助六師匠がかけていたんだった!
しかも会の後にお友だちと飲みに行って「私あの噺初めてだった」と言ったら友だちに「私は小助六師匠で聞いたことがある」と言われ、ええー小助六師匠で?いいなぁーーーと思い切り羨ましがっちゃった…。
あとで検索したらしっかり見てる…おそらく一緒に見たと思われる…私の記憶力…。彼女もか(笑)。
 
番頭の久蔵が主の所へやってきて「若旦那の病の原因がわかりました。なにせあの先生は名医中の名医ですから」。
今まで来てもらった医者、みんな名医だと言って「大船に乗ったつもりで」と請け負って来た久蔵に「今度こそ大丈夫なのか」と不安そうな主。
「いえもう大丈夫。この間までの船は大船ではありましたけど大風が吹いて転覆…」
で、若旦那は恋煩いをしていて、しかも相手は裏長屋の一番ぼろい家に住む浪人の娘だと言う。
あそこに娘などいたかな?と言う主に「そうでしょ。私もずっとあそこにいるのは息子だと思ってたんですが、実はあれお嬢さんだったんですよ」と。
あんな小汚い男、いや女がいいのか?と尋ねると、私は彼女の心根に惚れたのだ、と若旦那は言った、と。
主も戸惑ったものの、息子がそれほどまでにおもう相手ならいいだろう、と言うと、久蔵が「私が話をつけてまいります」。
「お前はおっちょこちょいなところがあるから心配だ」と言う主に「大丈夫です。大船に乗った気持ちで」と久蔵。
いさんで長屋に行き、どや!とばかりに金貨を出してお嫁さんにほしいということを申し出るのだが、父親は「無礼者!」と大激怒。どうしても欲しいと言うのならお前の首を代わりに差し出せ、と言う。
 
ほうほうの体で帰って来た久蔵が主に報告すると「そうか、わかった。それも仕方ない。悪かったな」と久蔵のことを責めるでもなく、逆にねぎらってくれる。
部屋に戻った久蔵は、なんていいご主人なんだ、私のおっちょこちょいがもとでこんなことになったのに一切私を責めないなんて…。とつぶやく。
想いが遂げられないから若旦那はそのうち死ぬだろう、そうしたら主もがっくりして後を追うように亡くなり…店も潰れるだろう。…私も路頭に迷って死ぬだろう。
そう考えたらこのままでいるのも、もう一度訪ねて行って首を差し出して殺されるのも同じこと。私が殺されれば若旦那は無事に結婚できてお店が潰れることもない…。
破れかぶれになった久蔵が再び長屋を訪ね首を差し出すと…。
 
なんともばかばかしくて楽しい噺。
特に後半、泥棒が入ってからの展開のスカッと爽やかさは絶品。
楽しかった~。
 
今松師匠「芝浜」
年末は末廣亭で今松師匠の「芝浜」を聞くというのが大変な贅沢だったのに今年から今松師匠のトリがなくなってがっかり…。
でもちゃんとこうしてそのかわりになるような立派な会を主宰してくださる方がいて、今松師匠もそれにこたえてやってくださる。おかげでこうして見ることができる。感謝しかない。
 
もうほんとにいいんだよなぁ、今松師匠の「芝浜」は。
なにより魚屋さんがからっと明るくてほんとに気持ちのいい人物。
おかみさんに言いくるめられちゃうところに人の好さが表れていていい!
そして真相を明かされた時の反応がほんとにいいんだ。手放しで女房を褒めるんだけど、そこにいやらしさがこれっぽっちもない。ほ
おかみさんにもじめじめしたところが全然ない。
なんて気持ちのいい夫婦なんだ。くーーー。
素晴らしかった。今年も聞けてよかった!