りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

マンハッタン・ビーチ

 

マンハッタン・ビーチ

マンハッタン・ビーチ

 

 ★★★★★

アナ・ケリガンは、幼いころから海に魅了されてきた。潜水士を志す彼女は、ある晩友人に連れられて行ったクラブで、オーナーのデクスター・スタイルズに会う。アナは彼を憶えていた。幼いころに行ったマンハッタン・ビーチの砂浜にある屋敷の主だったのだ。そして、そのとき彼とひそやかに言葉を交わしていたアナの父は、数年前に消えた―。彼は父の失踪の鍵を握っているのではないか?そう考えたアナは、彼に近づくが…第二次世界大戦下のニューヨークを舞台に、海に魅惑された女性の軌跡を描き出すピュリッツァー賞作家の傑作長篇。アンドリュー・カーネギー・メダル受賞作。 

面白かった~!
禁酒法廃止の翌年、大恐慌で仕事も財産も失った父のエディに連れられて11歳のアナは立派な屋敷に住むデクスターを訪ねる。デクスターはイタリア系ギャングの大物だった。
それから8年後、エディは謎の失踪を遂げ、アナは母と二人、重い障害を持った妹の世話をしながら工場で働いていた…。

アナとエディとデクスター3人の視点から物語は語られるのだが、人間の弱さと強さ、清廉さと狡さが実に見事に描かれていて、圧倒された。
なによりも逞しく育っていくアナが魅力的で元気をもらえる。

幸福も不幸もすべてを覆いつくすような海の存在が美しもあり恐ろしくもあり…素晴らしかった。