りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ホリー・ガーデン

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

★★★★★

幼馴染の果歩と静江はまったく違うタイプの女性。
眼鏡屋に勤める果歩は、5年前の失恋の傷がまだ癒えていない。
そんな果歩を過剰に心配する静江は、年上の男性と不倫中。
果歩を慕う中野くんも加わって、二人の関係に変化があらわれはじめる。

お互いをとても思いやっているのに、時に辛らつに傷つけ合い、時に踏み込めずにいる二人。そんな女の友情が、とってもリアル。
「たくさんの余分な時間を共有してきた二人の物語」「日々の余分の物語」と作者自身があとがきで書いているけれど、まるで散文のようなエピソードの中に、胸が熱くなったり、ちくっときたり、どきっとしたりする箇所がたくさんあった。

静江の不倫相手を「この男性かっこいい!」と書いていた人がいたけれど、私は嫌いだなぁ。なんかこういう男が不倫を必要としているのか、なんて思ってしまった。
「大人の男」ぶってるけど、なんか結局は都合のいいように甘えているだけのように思えてしまって。この人の魅力がわからない私は色気が足りないんでしょうかね。
断然中野の方がいいな。でも最初は新鮮に思えたこの「ずれ」が、しばらくするとたまらなくいやになってくるのかもしれないけど。

一瞬の気の迷いかもしれないけど、果歩が秘蔵の禁断のカップを彼に渡すシーンには、ちょっと胸が熱くなってしまったのだった。