りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第373回圓橘の会

4/20(土)、深川東京モダン館で行われた「第373回圓橘の会」に行ってきた。

・まん坊「三人旅(びっこ馬)」
・圓橘「淀五郎」
~仲入り~
・圓橘 圓朝作怪談「牡丹燈籠」その3・香箱の蓋

まん坊さん「三人旅(びっこ馬)」
毎回見るたびに違う噺、珍しい噺で、いいなぁ、まん坊さん。
ちょっと危ないところもありつつ、楽しかった。

圓橘師匠「淀五郎」
先ほどまん坊がした噺、本当はこの後に馬子の歌が入ります…こんな具合に…。
圓橘師匠が馬を引くしぐさをしながら歌い始めると、もうそこに田舎の道が広がってくるんだ…そしてなんともいえずいいんだ歌が。すてき~。
「この歌の部分をまん坊ともう一人スウェーデン人の前座に教えたんですが、彼らがやると西洋のドレミになっちゃうんですね。何度教えてもそうなってしまう。まん坊がニツ目になるのが11月。それまでにできるようになるかどうか」。

…まん坊さんが下がると必ずその噺の解説をしてくれる圓橘師匠。
それがまたとても楽しいんだなぁ。
この日はこの間亡くなった小圓朝師匠の真打昇進の時に配られたらしい?冊子をいただけて、そこには先代の小圓朝師匠の写真やエピソードなどもたっぷり。落語マニアにはたまらない。

そんなまくらから「淀五郎」。
噺が始まって「あ、淀五郎だ!」と気づいた時のヨロコビ…。圓橘師匠の淀五郎が素敵じゃないはずがない!!
言葉数が少なくて厳しくて皮肉な團蔵
何が何だかわからなくて自信を失い困惑し極端な行動に走りそうになる淀五郎。
彼を心配し手を差し伸べる仲蔵。
全員が生き生きと描かれていて、誰を見ても「ああ、圓橘師匠そのものだ」と思う。

淀五郎の初めての判官のシーンもものすごい迫力があってとてもかっこいいのだ。うわーーすごい!!大きな声やしぐさ、音に迫力がある。
暇乞いに来た淀五郎の様子が尋常じゃないことに気づいて人払いをしてからの仲蔵の親身になって話を聞いて「ああ、よどさん…あんたは若いなぁ」「考えてごらん。あの團蔵だよ。自分は自分でちゃんと芝居はできるよ。それをわざわざそうやって不自然な形でやるのは…よどさんに見どころがあるからだよ」のセリフですでに涙が出てしまう私。
「見てやるからやってごらん」と言って淀五郎の芝居を見るところ。煙草を吸うのではなく、火鉢に当たって手を温めている。そして始まってすぐに「ああ」という顔をして早めに「うん、もういいよ。わかった」と。
「私でもそばには寄れないなぁ」と言ったあと、具体的な指摘。うううー。泣けるー。
そして次の日の本番。判官を見た團蔵が「できた」と小さな声でつぶやく、その満足そうな顔にまたじーん…。
最後のセリフもかっこよく決まって、素敵だったー。よかったー。満足。

圓橘師匠 圓朝作怪談「牡丹燈籠」その3・香箱の蓋
前回の続きから。
お露に会いたい気持ちはあるもののなかなか一人でお露の屋敷を訪ねることができない新三郎。
元気のない新三郎を心配して釣りに誘ったのが隣に住んで新三郎のお世話をしている伴蔵。
舟からお露の屋敷に近づくことができると気づいた新三郎は喜んで出かける。
お露の屋敷の近くに舟をつけて、一人で石垣をのぼって屋敷に入る新三郎。小さな声でお露を呼ぶとすぐに出てきたお露。
部屋に入り二人は想いを打ち明けあいまくらを交わす。
その後お露は「これは母から贈られた大事な品」と言って新三郎に香箱を握らせる。
二人が別れを惜しんでいるといきなり部屋の扉が開き入って来たのが父親の平左衛門。
「不義密通するとは何事だ」と刀を抜き、お露の首をはね、また新三郎も背中から斬りつけられる。
思わず大きな声を出すと、伴蔵に「旦那!」と起こされ、これが夢だったということに気づく。
ああ、おそろしや…。やはりお露の屋敷を訪ねたりしては行けないという戒めか…と思いふと懐に手をやると、そこには夢で見た香箱のふたが…。

そうだそうだ、そうだった。
おかしかったのは「二人はまくらを交わしたのでした」と言った後に圓橘師匠が「意外と早かったですね」。
…ぶわはははは!確かに!

まくらで圓橘師匠がおっしゃっていた「圓朝シェイクスピアを知っていたのか」という話も面白かったなぁ。
残念ながら次回とその次は予定があって行けず。くーー。無念じゃ。