終わりの感覚
- 作者: ジュリアンバーンズ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/12
- メディア: ペーパーバック
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穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。
苦い…。苦いなぁ。ジュリアンバーンズってこんなだったっけ。なんかイアン・マキューアンのようじゃないか。 前に読んだイングランドイングランドとはがらりと違った作風。
自分の良いように無意識のうちに改変している記憶。自分が投げつけたひどい言葉、ひどい態度はいつのまにか忘れ去り、しかし自分がされたひどい仕打ちは決して忘れない。私もそうだなぁ…。それが人間というものなのかもしれない。 人生の終盤にさしかかって、自分が若い頃親友に投げつけた言葉が苦い結末を生んでしまったことを知る。 そんなつもりじゃなかったんだ…と物語る相手はもういない。
憧れと嫉妬。若さと老い。生きることと死ぬこと。 ミステリ仕立てでユーモアも交えながら…なので、重い物語だけれど案外楽しく読める。が、にがい…。うーん…。