りつこの読書と落語メモ

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死の記憶

死の記憶 (文春文庫)

死の記憶 (文春文庫)

★★★★★
これはめちゃくちゃ当たりだった!

父親が家族を殺して失踪。息子だけは外出していて生き残った。彼は成人し、結婚して普通に生活を送っていた。そんな彼のもとに、肉親による殺人事件のルポを書いているという、美しい女性が訪ねてくる。彼女は、彼の体験を記事にしたいと申し出て、彼は最初は気が進まないのだが、彼女のインタビューを受けるうちに、自分が記憶の中に封印していたその事件を掘り起こすことになる、、、という内容。

過去のことは乗り越えたつもりだったのに、昔の記憶を掘り返すほどに危うくなってゆく主人公。彼の心の平穏が徐々に損なわれてゆくのが、非常にリアルに描かれていて、読んでいてつらい。

でも、なにがあったのか知りたい。真相を明らかにしたい。でもすべてがわかったとき、この主人公はどうするんだろう、、、。

真相を明らかにするという面と、心の傷や家族の問題を明らかにするというふたつの面があって、それがこの小説に深みをもたらしていると思う。