海苔と卵と朝めし: 食いしん坊エッセイ傑作選
★★★★★
思い出の食卓、ウチの手料理、お気に入り、性分、日々の味、旅の愉しみの六章からなる二十九篇のエッセイと「寺内貫太郎一家」より小説一篇を収録。ちいさなこだわり、忘れられない味。幼い頃の食卓の情景から病気が治ったら食べたいもののリストまで、向田邦子の真骨頂。
読んだことがあるエッセイもあったけど、気取らない内容と歯切れのいい文章で読んでいてとても楽しい。
物や食べ物のない時代を生きてきた人独特の執着やこだわりがすがすがしくて、自分は食べることだけじゃなく、いろいろなことを雑に流しているなぁと思ったりもした。
漂う昭和の香りも懐かしく、長生きしてもっともっとたくさん書いてほしかったなぁと思う。