りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

少女は卒業しない

少女は卒業しない

少女は卒業しない

★★★★★

高校最後の卒業式、7つのさよならの物語。
校舎取り壊しが決まっている高校、最後の卒業式の一日。少女7人が迎えるそれぞれの別れを、瑞々しく描く連作短編集。恋愛あり、友情あり、成長あり、ミステリ的仕掛けあり。青春の全てがここに!

この人の作品は繊細だけど健全なところがとても好きだ。
もう好きすぎて冷静な判断はできないんだけど、これほど嫌味なくきちんと青春を描ける作家はそうはいないと思う。
妙に美化するでもなく、かといってただどろどろしているのではなく、微妙な距離感を保ちながらちゃんと「渦中」にもいて、それがなんかたまらないんだよなぁ…。
少女の描き方がとてもうまいし、表現が瑞々しいのも好き。

1作目の「エンドロールが始まる」でいきなり掴まれる。
図書室の先生に憧れる女子高生なんて「少女マンガかよ」と思うけど、主人公の行動が甘すぎず「ちゃんとしている」ところにもう泣ける泣ける…。
先生もほんとにかっこいいよ。私もきっと好きになっちゃうなぁ、こんな先生が図書室にいたら。

「在校生代表」のありえなさも好きだ。呼びかけられるだけなのに存在感がしっかりあるザビエルが素敵。
高校生ってきれいなだけじゃないけどでもやっぱり大人より全然きれいなんだよなぁとしみじみ…。

「寺田の足の甲はキャベツ」の苦さも好き。
そんなにストイックにならなくてもいいんだよ、と言ってあげたくなるけど、この苦さこそが若さなんだよなぁ。

そして最終話「夜明けの中心」で涙腺崩壊…。
少女マンガ的ではあるけれど、決して少女マンガではない。素晴らしいと思う。