りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

R.P.G.

R.P.G. (集英社文庫)

R.P.G. (集英社文庫)

★★★
まるでお芝居を見ているような作品。
舞台は警察の取調室。

ネットで擬似家族を演じていた「お父さん」が殺される。
参考人として、擬似家族のお母さん、娘、息子が呼ばれ、警察の取調室で「いったいどういう経緯で擬似家族を演じることになったのか、お互いどんな関係だったのか」が語られる。
それをマジックミラー越しに覗くのが、「お父さん」の実の娘。

とても興味をひかれる題材だ。
ネットで演じていた疑似家族。その気持ち悪さと寂しさに、反感を覚えながらも全く理解不可能ではなかった。

実の娘とはうまくコミュニケーションがとれないくせに、家庭の外では「話のわかるお父さん」を上手にやっている「お父さん」。
そして、自分の気持ちを踏みにじられることを極端に怒る若者。
とてもリアルだった。

宮部みゆきにしたら珍しく、できるだけシンプルに、できるだけ簡潔に書こうとしている?それが新鮮でもあり、少し物足りなくも感じた。