りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

「夢吉のバカ!12→13」

7/23(水)、お江戸上野広小路亭で行われた「夢吉のバカ!12→13」に行ってきた。
この日は夕方お客さんのところに行かなければいけなくなり、すわ遅刻!と思ったのだが、客先から御徒町が近かったのでセーフ。

・三笑亭夢吉 ごあいさつ
・古今亭今いち『旅行日記』
・三笑亭夢吉『元犬』
・三笑亭夢吉『千両箱』
〜仲入り〜
・三笑亭夢吉『次の御用日』

この会は夢吉さんのあいさつが楽しみ♪
このあとに出てくる今いちさんの紹介で。今いちさんは今輔師匠のお弟子さん。この今輔師匠がとても繊細な人で傷つきやすい。
とある落語会があった時に、出演者の名前と一言コメント(悪口?)が書いてあって、夢吉さんは「ニコニコバカ」、今輔師匠は「すぐにブルー」。このコメントを見て今輔師匠がすぐにブルーになったと。わはは。

今いちさん『旅行日記』
なんかまくらでえらい笑ったんだけど、忘れてしまった(ああ、記憶力…)。
純朴で正直な田舎の宿屋の主人というイメージが見事に裏切られていく「旅行日記」、面白かった。

夢吉さん『元犬』
この間のお蕎麦屋さんのときに聞いた未就学児の間で落語を叫ぶ、の話。あの時より洗練されて完成度が高くなっていて感動。夢吉さんは語彙が豊富なところが魅力の一つ。
「二十四孝」の終わりの5分だけやって「おあとがよろしいようで」とセリフをいうという仕事の話もおかしかった〜。

夢吉さんの「元犬」、シロのケモノっぽさがなんともかわいい。
動物モノは夢吉さんに合ってると思う。

夢吉さん『千両箱』
これはある会のために掘り起こした話でめったにやられることはないです、という夢吉さん。
なんでめったにやられることはないかといえばあまり面白くないからで、しかも「え?ここで終わっちゃうの?」という噺。ちなみに今回のテーマが「えっ!? ここで終わっちゃうの!?」だった。
なので今日やったらもうやらないと思いますので、みなさんは噺が掘り起こされてまたしまわれていくのを見届けてください、と。

酒を飲んでの失敗は数多くあるという夢吉さん。
前座から二つ目にあがるとき、それはもううれしくてそういう時にしくじりが多いと聞いていたので気をつけていたつもりだったんだけど、あるとき常連さんが祝ってくれるというので松戸で飲んだ。酒は強い方じゃないんだけどそのときは調子に乗ってかなり飲んでしまった。
終電がなくならないうちにと別れて上野行きの電車に乗ったはずなのだが、はっと目が覚めると見たことのない港町にいて、ここはどこ?と見ると福島だった。
しかもなぜか上半身が裸で帽子をかぶっているという異様な格好。なんで上半身裸?なななにか上に着るものを!と思ったのだが、ここで降りると松戸から福島までの電車賃を払わないといけなくなってしまう。
平日だし田舎だし始発だからたいして人も乗ってこないだろうとそのまま東京へ戻ることに。
最初は確かに人がほとんど乗ってなくて良かったのだが、ある駅からどんどん人が乗ってきて大変な通勤ラッシュに。なのに夢吉さんの半径1メートルくらいはガラ空き。上半身裸で帽子の男が立ってるせいだろう…。
その日は広小路で仕事があったので上野を歩いていると、子供たちに「ひゅ〜いっ!!」と冷やかされた、と。
…たまらん。夢吉さんの酒の失敗談、好きすぎる。

そんなまくらから「千両箱」。
酒を飲んでとんでもないことをしてしまったと後悔しきりの男ふたり。親分に見つかったら絶対殴られると恐れおののいている。
何をしたかはわからないのだが二人の怯えようを見ると相当なことをしでかしたらしい。
とにかく見つからないように隠れてようと一人はゴミ溜めの中に隠れこむ。のだが、そこを通りかかった親分にすぐに見つかってしまう。

どうやらふたりは親分のなじみの酒屋でタダ酒を借りた挙句、最後は暴れて店をめちゃくちゃにしてしまったらしい。
しかし人のいい酒屋のおじさんは許してくれるという。そのかわり、そこの家に古くから伝わる千両箱をとりに地下深く入って掘り起こしてほしい、という…。

  確かに噺自体は「ほえ?」というところで終わってしまうのだけれど、親分との会話も楽しいし、これはやりようによっては寄席などでかかっても楽しいのでは?

夢吉さん『次の御用日』
これも初めて聞く噺。
あるお店で丁稚の常吉が主人に頼まれてお嬢さんのお稽古のお供に出かける。
日中だけれど人通りの少ない場所に差し掛かりふたりがびくびくしていると、前から怪しげな男が歩いてくる。お嬢さんが怖がるので常吉がお嬢さんを守るような形で隠れるのだがそれに気がついた男がわざと怖がらせるために法被を覆い被せて「あ(「え」に近い「あ」)!」と言うと、恐怖のあまり気絶してしまったお嬢さん。その後全ての記憶を失ってしまう。
その男が同じ町内にすむ藤吉と分かり、気が収まらない店の主人は奉行に訴えお裁きとなる。

人情噺と思って聞いているとこれがもう実にバカバカしい。
法被を覆い被せて「あ!」って脅すって明らか露出狂のそれだよなぁ…。
この「あ」の声をどう出すかがポイントらしい。ってもうほんとにバカバカしいんだけど、最高におかしくて、笑ったわー。最高。
こんな噺誰に教わったんだろうと思っていたら、鶴光師匠から教わったらしい。