りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

市馬・菊之丞 久方ぶり二人会

7/22(火)、日本橋公会堂で行われた「市馬・菊之丞 久方ぶり二人会」に行ってきた。

・市助「たらちね」
・菊之丞「短命」
・市馬「阿武松
〜仲入〜
・市馬「船徳
・菊之丞「鰻の幇間

市馬師匠も菊之丞師匠も大好きなので、この二人会には飛びついた!
行ってみるとなんとなくいつも私が行く落語会とは客層が微妙に違うような…。市馬師匠のファンってちょっと雰囲気が違うのかなぁ。年齢層でいえばちょっと高め。でもそういう落語会は結構行ってるわけで(雲助師匠の会とからくだ亭とか)それとはまた違う空気。

市助さん「たらちね」
大好きな前座さん。まっすぐな落語。

菊之丞師匠「短命」
まさか自分が落語協会の会長と二人会をすることになるとは思わなかった、と菊之丞師匠。この会は池袋演芸場で長くやっていたらしいのだが、さすがに手狭になってきたのでこちらでやることになったらしい。
池袋でやっていた時の思い出はいろいろあって、打ち上げをやって0時頃になってお囃子さんたちが帰った後、市馬師匠と二人でカラオケボックス
二人だからすぐに順番が回ってきちゃうし、後輩だから自分が機械を操作して予約しなきゃいけないし、市馬師匠が歌ってる時には手拍子もしなきゃいけないし忙しい。しかも昭和歌謡って結構曲が短くて2分ぐらいで終わっちゃう。あたふた予約してると間違った曲を入れちゃったりするんだけど、「あ、師匠すみません!」と謝ると「大丈夫、これも歌える」と市馬師匠。
楽しそうだなぁ、市馬師匠と二人カラオケ。

女は器量じゃないのよ心意気よ、なんてことをおっしゃる方もおりますが、そんなのはブスの寝言でございます、と「短命」。
リズム感がいいんだなぁ。そして私はリズム感のいい噺家さんが好きなのだ。
おまんまの給仕をしているところを「(こんな形で)はい、あなた」って差し出すしぐさが色っぽい。
何回見てもおもしろい。菊之丞師匠の短命。

市馬師匠「阿武松
落語協会の会長になってから初めて見る市馬師匠。
会長らしく?前に出た菊之丞師匠のことを「落語協会でまれに見るいい男」「我々の協会ではいい男枠はかなり手薄ですので貴重な人材」と。
小三治師匠が俺はもうやらない!お前がやれって言うからやることになったと言いながら、落語協会だけじゃなく他の協会も演芸もよろしくお願いします、と頭を下げる。素敵…。

相撲好きの市馬師匠。
名古屋場所が楽しみでならない。相撲自体も楽しみなんだけどあたしの楽しみは他にもありまして。それはお客さんの中にひときわ目を引く女性が二人。着物といい宝石といい目立つことこの上ない。力士は休場することがあってもこのふたりは休場知らず。仕事でテレビが見られない時でも夜のニュースで見れば必ずこの人たちの姿を確認するこができる、と。

そんなまくらから「阿武松」。
飯の食い過ぎで部屋を波紋になった小車。あまりにも面目なくて家には帰れない。川に身を投げて死のうと思うのだが、もらった金を持って死ぬのはもったいないと思い、宿屋に泊まり有り金を全て渡しておまんまを出してくれと頼む。あまりにもたくさん食べるので宿屋の主人が小車の部屋を訪ねる。事情を知った主人は贔屓にしている親方がいるから紹介してやると連れて行ってやる。米は自分が仕送りしてやるから心配いならないよ、と。
小車を見た親方はひと目でその才能を見抜き「小緑」と名前をつけてやる。小緑はどんどん頭角をあらわしてついには大関に上り詰める。
相撲好きの市馬師匠らしく、お相撲さんの純粋さやそれを見守る人たちの温かさをゆったりと語って、素晴らしかった。

市馬師匠「船徳
最高に面白かった。
徳が舟に乗るときにおかみさんが「お前さんだけでも無事に帰ってきておくれ」と頼むのがおかしい。 また舟に乗ったら乗ったで見栄をきるのがなんともおかしい。
川に出た徳が知り合いを見つけて「見てくださいー」と声をかけると、「徳さん一人かい?」と心配したおじさんが南無阿弥陀仏と手を合わせたり、客が徳に言われて傘で突いて傘が刺さってしまうところで「あれなんだ、ここにもあそこにも傘が」と数えるのがおかしい。
陽気でご機嫌で明るくて楽しい。市馬師匠にぴったりだ。

菊之丞師匠「鰻の幇間
そんなに好きな噺じゃないんだけど、菊之丞師匠の「鰻の幇間」は、いい!
何がいいって、幇間が軽くて調子が良くていかにも幇間らしいので、かわいそうげがなくて楽しいのだ。 自腹ってわかったとたんにああだこうだと文句を言い始めるのだが、最後の方で顔をしかめてあちこち見回して他にもっと貶すところはなかったかと探すのがおかしい。
どうも見に行くと噺がかぶりやすい菊之丞師匠なんだけど、他の噺ももっといろいろ見てみたい!