りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

エルサレムの秋

エルサレムの秋 (Modern&Classic)

エルサレムの秋 (Modern&Classic)

★★★★

作者のアブラハム・B・イェホシュアはイスラエル文学界を代表する作家であり、オピニオンリーダーであるらしい。どうでもいいことだが、背表紙の作者の写真を見ると、男か女かわからないぞ…。(←オピニオンリーダーに対してどこまでも失礼で低次元な感想)


筆を折った老詩人と、彼が老境に入ってから生まれた「境界線上」の息子とを描いた「詩人の、絶え間なき沈黙」と、自分がかつて愛し、今も忘れることができない女性の3歳の子どもを預かった3日間を描いた「エルサレムの秋」の、中篇2話がおさめられている。

イスラエルという国のことは良くわからない私だが、この小説を読むと、自分たちと全く変わらない同じ人間なのだなぁと思う。優しい気持ちも嫉妬も不安も投げやりな気持ちも最後に残る良心も…全てに理解できるし共感することができる。こういう作品をこうやって翻訳本で読むことができるというのは本当に幸せなことだと思う。