七人の敵がいる
- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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PTA、学童、教師、夫に姑、我が子まで。上司より、取引先より手強いモンスターが次から次へと現れる!?困惑、当惑、そして笑いと涙の痛快PTAエンターテインメント!ワーキングママ、専業主婦に、育児パパ、そして未来の子持ち候補たち必読小説。
PTA関係のミーティングで一番嫌なのが「そもそも」論を言いだす人のちゃぶ台ひっくり返し。だからこの主人公みたいなママはもっともいてほしくないタイプ。
どうせ変わらないしどうせやるしかないんだから四の五の言ってないでとっととやってとっとと終わらせちゃおうぜ、というのが大部分の人たちの気持ちなのだ。だけど確かにそれじゃ何も変わらないんだよね。
「子どものため」という言葉はお互いを縛り身動きをさせなくするパワーがあるのだよなぁ…。
でも確かにあれも無駄、これもいらない、これも必要ない、をやっていくと、なーんにも残らなくなるのも事実で。
子どもが喜ぶ地域のお祭り。準備と当日の気の使いがハンパない地域の運動会。家事をしたりゆっくりしたい休日に行われる学童の遠足。それはもういろんな行事があってそこにいたるまでには親たちの時間と労力がたーっぷりかかっていて、しかし子どもはそれをとても楽しみにしていて、当日子どもの笑顔を見ると少し疲れもふっとぶんだけど、でも「なんだかなぁ」な気持ちも残って。
そういうあれこれをリアルに描きつつ、言ってはいけないことをあちこちでぶっぱなしては7人の敵と8人の味方を作っていく主人公は、とても痛快だ。
ちょっと話の展開が強引なのでは?という箇所もあったけど、主人公の底抜けに明るいブルドーザーパワーにがはははと笑わされ、息子とのきずなに泣かされ、さわやかな読後感。
さすがです。