りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鉄の門

 

鉄の門 (創元推理文庫)

鉄の門 (創元推理文庫)

 

 ★★★★

十六年前に死亡した親友ミルドレッドの夫である医師アンドルー・モローと再婚したルシールは、一見平穏なその生活の裏側で継子や義妹との関係に悩み続けていた。ある冬の日、謎の小箱を受け取ったルシールは何も言い残さず姿を消した。日常の微かなひびの向こうに広がる荒涼とした心理の内奥を描いて、ミステリに新風を吹き込んだ巧手ミラーの初期を代表する傑作、新訳で復活。 

冒頭では冷静沈着、計算高い女に思えたルシールが、怪しげな小男が届けた小箱を受け取ったとたん叫び声を発して失踪してしまう。
家族が彼女を見つけ出した時にはルシールは元の彼女ではなくなっていた…。

正気と狂気の境界は曖昧でぐるぐる回る思考は以前は見えなかったもの、見たくなかったものを次々見せていく。
いったいこれはどういうことなのだ、何が起こっているのだと目を見張っているうちに、次々人が死んでいく…。

今どきのミステリーにあるようなスピード感やサービス精神はないけれど、心理描写が巧みで読ませるなぁ。夢中で読んだ。