寅さんに学ぶ日本人の「生き方」
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本来“衣食足りた”日本人は“礼節を知る”はずだった。現代の日本人は礼節を失ったばかりでなく、「恥を恥とも思わない」輩がいたるところに闊歩している。いまこそ「寅さん」で日本人の忘れものを取り戻そう。
「現代の日本人が忘れている義理と人情、古き良き美しい日本人を取り戻そう」などと言われると、某政治家のスローガンのようでぞっとしてしまうのだが、ここでは今の政治家とは正反対の美徳を言っているのである。
この本は12年前に書かれていて「今の日本人は物質的に豊かになったけれど精神が貧しくなった」とあるのだが、今の日本の状況についても著者は同じように考えているのか?と問いただしてみたくもなる。ブラック企業や貧困家庭で育つ子ども、拡大する非正規雇用については?今の政治家については?
そしてそうは言ってもあなたもいわゆる「インテリ」で上の方にいる人間だよね?寅さんがいいのはもちろんだけど、そういう人にとやかく言われたくないよなぁ…と、あまり素直な気持ちで読めなかった。
結論。私は寅さんが大好きだけど、寅さんで「日本人」とか「精神」を説かれたくない。