りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

愛と人生

 

愛と人生 (講談社文庫)

愛と人生 (講談社文庫)

 

★★★★

男はつらいよ」シリーズの子役、秀吉だった「私」は、寅次郎と一緒に行方不明になった母を探す旅に出る。映画の登場人物と、それを演じる俳優の人生が渾然一体となって語られ、斬新で独創的と絶賛された“寅さん小説”の表題作ほか、短編「かまち」とその続編「泥棒」の三作を収録。野間文芸新人賞受賞作。 

今、自分の寅さん愛が燃え盛っていることが逆にこの小説を読む上で邪魔になった感。

寅さんの物語の中の世界と外の世界の間をたゆたうように行ったり来たりするのが、寅さんワールドにどっぷりはまりたい私からすると物足りない。中なら中、外なら外、はっきりしてもらいたい。
なんて言ったらこの小説を半分も楽しめないことになってしまうのだが。
この映画の登場人物とそれを演じる俳優の人生が交錯しているところが、この物語の肝なのだろうから。

とはいえ寅さんフリークの作者さんならではの蘊蓄や空気感はとても良くて、特に美保純が語る家出した時に迎えに来たのが寅さんだったという話にはじーん…。
今寅さん映画を順番に見ている最中なので、この物語の主人公秀吉が出てくる39話目を見終わったところで、また読み直したい。

他に収められた「かまち」「泥棒」もちょっと不思議な話。滝口さんはもしかすると落語が好きなのかもしれない?