りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

真景累ヶ淵 半通し公演

2/16(日)、お江戸日本橋亭で行われた「真景累ヶ淵 半通し公演」に行ってきた。
陰惨な噺はあんまり好きじゃないと言いながら、時々行きたくなる。特に「通し」とか言われると弱いわっ。
 
・こう治 圓朝について&小話
・貞山「宗悦殺し」
・ぜん馬「豊志賀の死」
・龍玉「お久殺し~土手の甚蔵」
~仲入り~
・圓橘「勘蔵の死」
 
貞山先生「宗悦殺し」
貞寿先生の真打披露興行の時に見て以来の貞山先生。
なんとなく私の苦手な「固い講談」のイメージで苦手意識があったんだけど、抑え目の語りで素敵だった。
落語で聴く「 宗悦殺し」は、 宗悦が雪が降る中、借金の取り立てに出かけるシーンから始まり、娘たちが心配して「今夜はよした方がいい」と引き留めたりするだけに、その後の展開が哀れなのだが、講談だと深見新左衛門の酒癖の悪さを最初に説明されていたので聞く側にもそれなりの覚悟?ができるというか…。
宗悦が脅したりなだめたり開き直ったりするのが、酒癖の悪い新左衛門の癇癪に火をつけたんだろうな、という納得感があった。
少しかすれた小さめの声が余計に怖かった。
 
ぜん馬師匠「豊志賀の死」
「豊志賀の死」を一番よく聞いているかもしれない。
確かに見せ場がたくさんあるもんなぁ…。
おかしかったのは新吉と豊志賀が初めて一夜を共にするシーンでまるっきり関係ない歌の文句を並べて「立川流はこういうところに品がある」。
緊迫した場面が続くだけにこういうところでふっと笑えるのはいいな。
 
龍玉師匠「お久殺し~土手の甚蔵」
1時間あまりの熱演。
やはり私にとっては「 真景累ヶ淵」といえば劉玉師匠なんだなぁ。
気の弱い新吉、まだ幼さの残るお久、どこからどう見ても「ワル」の土手の 甚蔵、と人物がくっきり。特に 甚蔵の悪党ぶりは小気味いいほどで笑いが起きる。
うーん。すごい。劉玉師匠。さすが私があまりの悪党ぶりに「もう見たくない!」としばらく立ち直れなかっただけのことはある。
かっこよかった。
 
圓橘師匠「勘蔵の死」
叔父の勘蔵が危篤と聞いて久しぶりに長屋に戻った新吉。
長屋の人たちが看病をしてくれているのだが、それをあしざまに言う勘蔵と「そんなことを言うもんじゃない」とたしなめる新吉がおかしい。
二人きりになると新吉を座布団の上に座らせて新吉の生い立ちについて語る 勘蔵。なるほど、そういう因縁があったのか、と納得する場面。
帰りに雨に降られ駕籠に乗るのだが、亀有へ向かっているはずなのに小塚っ腹をぐるぐるぐるぐる。
業を煮やして新吉が駕籠を降りると、そこで 勘蔵から聞かされた行方不明になっている自分の兄に出会い…。
 
ここまででかなり時間が押してしまっていたので「私は手短に申し上げます」と言っていた圓橘師匠だったけれど、どこを詰めたのかわからないほど…静かな語りで迫力も十分。
素敵だった。