りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

白酒・甚語楼の会

2/4(火)、お江戸日本橋亭で行われた「白酒・甚語楼の会」に行ってきた。
 
・門朗「元犬」
・甚語楼「のめる」
・白酒「突き落とし」
~仲入り~
・白酒「親子酒」
・甚語楼「阿武松
 
甚語楼師匠「のめる」
記憶はないんだけど酔っ払ってどこかにぶつかったかしたらしくひどいタンコブができた、と言う甚語楼師匠。
私はまぁ結構お酒は飲む方ですけどそして酒癖もあまりよろしくないことは自覚しておりますけど、ただ私の場合は人に迷惑をかけることはない。ただ自分だけがひどい目にあって破滅する、というタイプの酒癖の悪さです。
 
…ぶわはははは。
でも酒癖が悪くて人に迷惑をかけてないって言いきれるのはすごい。私なんかほんとに迷惑かけっぱなし…とほほ。
いやでも気を付けてください…タンコブ危ないらしいので…。
 
そんなまくらから「のめる」。
この噺って面白い人と面白くない人がすごくはっきりしてる。リズム感が物を言う噺なのかな。
甚語楼師匠はとにかくリズム感が抜群に良くて半拍ぐらいの間でぐわっぐわっとたたみかけてくるから、もうほんとに楽しい。
そして「一杯のめる」の男のリアクションが思っているより激しいので、そこでまた笑ってしまう。
うーん。かっこいいー。
 
白酒「突き落とし」
ウィルスの問題でクルーズ船が停泊していることについて。
あれに乗ってる芸人は地獄でしょうね、と白酒師匠。
おそらくあのレベルの船であればシルクドソレイユを落ちてもう一度落ちて…ぐらいのレベルの人たちは乗ってますよ。でもそういうところは契約がきっちりしてますから、日にちが延びたからと言って気安く余計に公演をしたりはしないですよ。
そうすると噺家に「落語ならいくらでもできるでしょ」って言って頼んできますよ。
ああいう密封空間ってちょっとしたことで空気が悪くなっちゃうんですよ。
例えば昼間行ったホエールウォッチングでクジラが見られなかった、なんてことがあると、もう一気にお客さんたちの雰囲気が悪くなっちゃう。
そんな中で落語やってもウケるわけがない。「あーだから落語はつまんねぇんだよ」なんて言われちゃったりしてね。
あの船に乗ってる噺家と…あとキルト教室とかの先生は今まさに地獄を見てるはずです。
 
…ぶわはははは!!おかしい!!笑った笑った。
 
そんなまくらから「突き落とし」。
金のない連中が吉原に行って一芝居うって若い衆をお歯黒どぶに突き落として逃げてきちゃえという酷い計画を立てて出かけて行く、という噺。
まぁひどいんだけど、明らかにみんなに「棟梁」って持ち上げられてる男がおよそ大物感がないし、言ってる連中も「そうは見えないけど」「見えないでしょ」ってふざけていて、これならわかりそうなもんじゃないか、というツメの甘さがおかしい。
どうせお金を払わないんだからと、たらいをあつらえたりビールケースを注文したり…それが逃げる時のアクセントになっていて面白い。
楽しかった。
 
 
白酒師匠「親子酒」
聞き飽きた噺でも面白い人がやればこんなに面白いという見本のような「親子酒」。
酔っぱらってどんどんぐずぐずになっていく大旦那が傑作で笑った笑った。

 
甚語楼師匠「阿武松
相撲の親方は声が太くていかにも親方らしい。
おまんまの食べ過ぎのせいで武隈関のところをくびになってしまった小車はいかにも素朴な青年。
ご飯をすごい勢いで食べる客がいると聞いて宿屋の主が見に行くんだけど、「何か事情がありそうだね」と話をしている間にも小車が何度もおかわりをするのが面白い。
主が優しくてさっぱりしていて、ああ、この人にめぐりあえてよかったーとしみじみ思う。
次の日に連れて行く錣山関は武隈よりももっと威厳があって大物感がある。
紹介された 小車が大きな身体を小さく丸めて挨拶をする、というのが目に浮かんで涙…。
小車の身体を改めた親方が「いい!」「いい!」と何度も大きな声を出すのがおかしい。
 
楽しくてじんわりとあたたかい「 阿武松」。ストーリーを知っていても後半の展開には涙。とてもすてきだった。