小んぶにだっこ
1/6(月)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」 に行ってきた。
・小んぶ「初天神」
~仲入り~
~仲入り~
・小んぶ「明烏」
小んぶさん「初天神」
あけましておめでとうございます、と小んぶさん。
私はお正月だからって何か想いを新たにしたりするような人間じゃ ないんですがお客様はきっとそうじゃないでしょう。 お正月という気分でいらしているでしょう。
ですから私…こちらに花を活けさせていただきました。
「んなわけないですけどね。 今日来てみたらこんなものが置いてあってですね… うわっとびっくりして、 とりあえず動かしたりして何か外れたりしたら戻せないですから… 触らないように気をつけて高座を作らないといけなくて… 正直迷惑でした」。
スズナリだってね、 兄さんだったらもっと大きなハコでもいいところを、 あのハコが好きだから3年前から丸々1か月押さえておいて、 自分の好きな人を日替わりでゲストに呼んで自分の大好きな落語をやるとい う… それをお客さんが頑張ってチケットを取って見に来るっていう… すごい空間ですよ。
そこに私のように何の熱さもない人間が出させてもらってね…。
で、小太郎兄さんが…あの人はしごく真っ当な人間ですから。「 兄さんに恩返しがしたい」と言い出してね… 3人でお金出し合って帯をね…帯を選べる券を贈ることにしたんですよ。 千秋楽に。
で、小太郎兄さんと話し合って、打ち上げの時に渡そう、と。
人がいるところだと兄さんも気づまりだろうから、 兄さんがタバコ吸いに出たところをねらって二人で行ってね… 渡したんですよ。
人がいるところだと兄さんも気づまりだろうから、
そうしたら兄さんがね「おまえら!こんなこと!!」ってね。 第一声が怒った声だったんで、 あちゃーーしくじったーって思ったんですけど、あたしは。
そしたら兄さんの目から涙がぽろりって。
それを見て小太郎兄さんも泣いちゃって。
おれ一人、ええええ?なに?ってなって。ほら、心がないから。おれ。いやでもこれはまずい、 二人が泣いてるからここは泣くところだ!って。 それぐらいはねもう40になってるから経験則としてね。
でも泣け!泣け!って思っても全然泣けない。で、 そうなると人間どういう行動に出るかって言うと、… 笑っちゃうんですね。あはははははー。
もう明らか、サイコパスですよ、あたし。
っていう話をね、この間連雀亭に出た時にしたんです。まくらで。
小太郎兄さんもその日出番があって楽屋にいたんですけど。
で、帰りに二人でカレー食ったんですけど、 小太郎兄さんが無言なんです。あれ?なんか怒ってる? って思いながらももう10年の付き合いですから。ま、 そういう日もあるよねーなんて思って、 くだらない話を一人でぱーぱーしてたんです。
そしたら兄さんがポツリと言ったんです。「 あーーおれもサイコパスになりてぇなぁ」。
10年の付き合いですから、 これが嫌味じゃないってわかるんです。 小太郎兄さんって本気でサイコパスになりたがってるんです。 それを知ってますから…「いや、兄さん、サイコパスですよ。 立派な」って言ったんです。そしたら「俺のは… なりたいと思ってわざとやってるだけ…。 お前のは本物だもん。かなわねぇよ」。
そう言われました。
…ぶわはははは!!!おかしい!!
そしてそんなまくらの後に「私… こうやって日常にあったことをまくらで話すんですけど、 ここから落語に入りづらいです。 もっと江戸前なまくらを振ってすっと噺に入ればいいんでしょうけ ど。それができないから、まくらから噺に入った時、 笑いが起きちゃうんですけど、これ全然いらない笑いですから!」
そういったあとに「小児は白き糸のごとし…」と言ったので、 大爆笑!ごめんごめん、 いらない笑いって言ってたのにどうしても我慢できなかった!
「今のは…私のせいだけじゃないですよ。 お客さんの責任も半分ぐらい…」
…ごめんなさい!!
「……あの…初天神やります!」
…ぶわはははは。なにその宣言。もうおかしすぎる。
そんな宣言からの「初天神」。
小んぶさんらしくひねりのきいた「初天神」。
言うこときかなかったら川におっぽりこんじゃうぞと言われた金ち ゃんが「え?かっぱ?… でもほんとにかっぱが出てきてかじられてたら父ちゃん助けてくれ る?」。
小んぶさん「明烏」
今度はまくらなしで「 明烏」。
こちらはとてもちゃんとした「 明烏」だった。本寸法。
源兵衛と太助のコンビもいいし、 若旦那の純情な感じもチャーミング。
小んぶさんが何年か後に真打に昇進した時、やるのかもなぁ… なんて思いながら聴いていた。
ちょっと照れがあったかな。でもそこも小んぶさんらしくていいな。
ちょっと照れがあったかな。でもそこも小んぶさんらしくていいな。