りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

喬弟仁義

8/31(土)、池袋演芸場で行われた「喬弟仁義」に行ってきた。

・左ん坊「からぬけ」
・喬の字「のっぺらぼう」
・喬之助「天災」
・さん助「夏の医者」
~仲入り~
・小太郎「四人癖」
・小平太「馬のす」
喬太郎「拾い犬」

さん助師匠「夏の医者」
おとっつぁんの具合が悪いので隣村の医者の先生を訪ねてきた息子。
山を越えすそ野をぐるっと回ってようやくたどり着き、呼んでも出てこないので見てみると、先生は畑で草むしり。
声をかけると、もうよぼよぼのおじいさん。…さん助師匠のよぼよぼ具合がすごい(笑)。
よぼよぼで耳も遠くてほげーっとしているのに「患者」と聞いて、はっとなって少し普通に戻るのがおかしい。
それじゃ行くべぇと歩きながら「お前は誰の倅だ?」と聞くと、若いころに一緒に遊んだ友達の子だとわかって大喜びの先生。
「あいつとはよくつるんで遊んだもんだ。村におなべっちゅう女がいて、この女が抱かせてくれるっちゅう噂があって二人で夜這いに行って…」。
夜這いの話を克明に語る先生に、「そんな話、聞きたくなかった!」と息子が言うのがめちゃくちゃおかしい。

山の頂上でタバコを一服のシーンものんびりしていて気持ちのいい風が吹いてくる感じ。
そこから一転して真っ暗になってどうやらうわばみに飲まれたらしい、と分かったときの先生の落ち着きがまたいい。

鈴本のトリが終わった次の日のさん助師匠。抜け殻なんだろうなぁと思っていたら決してそんなことはなく…ほどよく力が抜けてとてもいい「夏の医者」だった。
楽しかった。


小平太師匠「馬のす」
仲入りの時に喬の字さんの真打披露のチケットを売っていたんだけど、「私もやったばっかりだからわかるんです。本当に披露目の興行には来てほしいんです。特に鈴本は300名入る大きな会場ですから、ここがガランとしてると寂しいんです。来てください。喬の字の落語なんか聞きたくなくてもいいんです。口上に並ぶうちの師匠目当てでも…他にも豪華なメンバーが集まりますからそちら目当てでもなんでもいいんで。ぜひ来てください」。
心のこもった言葉にじーん…。いいもんだなぁ、兄弟子って…。ちょっと泣きそうになった。

そんなまくらから「馬のす」。
これが本当に素敵な「馬のす」でちょっとびっくり。
釣り好きの小平太師匠らしく、道具の扱いの所作がとてもリアルできれいでウキウキが伝わってくる。
馬のしっぽを抜いて兄貴分が「お前…今…馬のしっぽを抜いた?」と声をかけてきて、上がってからのやりとりは、兄貴分のじらし方と話が聞きたい男のじれ方が絶妙でとても楽しい。
特に兄貴分がどうでもいい話を延々とするところ…「電車…混んでるなぁ?」には大笑い。
すごく楽しかった。
二ツ目の頃から好きだったけど、やっぱり真打になると違うんだねー。と思っていたら、10月に鈴本のトリが決まったとの知らせ。これは行かねば!


喬太郎師匠「拾い犬」
初めて聴く噺。
貧乏長屋に暮らす二人の少年が白い犬を拾ってきて長屋で飼いたいと言うのだが、おかみさんたちに猛反対されてしまう。
間に入った大家さんが「犬は金持ちに飼ってもらうのがいい」と預かり、ある大店で飼われることに。
白犬のことが気になる少年が毎日その店を覗きに行っていると、そこの主人から声をかけられ、その少年のことを気に入った主人は「うちの店で奉公しないか」と言ってくれる。
それから10年が経って…。

いかにも落語の人情噺らしいストーリー。
笑いどころはそれほどない噺だけど、そこはクスグリやギャグを入れて時々ぶわっ!と笑わせつつ…人物がきっちり描かれているから噺に引き込まれる。
そしてシロのかわいらしさよ。やっぱりこういうところから説得力って生まれるのね、としみじみ…。
久しぶりに見たトリの喬太郎師匠。迫力があった。