死にがいを求めて生きているの
★★★★★
植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。二人の間に横たわる“歪な真実”とは?毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、目隠しをされた“平成”という時代の闇が露わになる―“平成”を生きる若者たちが背負う自滅と祈りの物語。
承認要求は誰にでもあるものだけど、それが自分の存在理由になったり「何者か」にならなければいけないと思い続けて生きていくのはしんどいなぁ。
紅白分かれて相手を「敵」と見なして戦うことと、わかりやすい「敵」を見つけて叩くことは繋がっているのだろうか。いろいろモヤモヤ…。
久しぶりに読む朝井リョウ。イタイ若者を描くのが相変わらずうまい。と書いて、ここに描かれている若者を「イタイ」と一言で済ませてしまう自分の雑さに気づいてぞっとしたりもする。
最初は美しい友情に思えた植物状態の友人を献身的に見守る雄介の真意が見えた時には正直ぞっとしたが、しかしそれも話してみなければ分からない。
少しだけ希望を抱きつつ本を閉じたが、はたして。
「螺旋プロジェクト」の対象作品とのこと。ほかの作品も読んでみたい。