りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

4/29(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助  ご挨拶
・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第二十八回「八方塞がり」
~仲入り~
・さん助「堀之内」
・さん助「王子の狐」


さん助 師匠 ご挨拶
今日は「王子の狐」をやるので、扇屋の卵焼きを買ってきました、とさん助師匠。
日本橋高島屋で買ってから来ようとUNAさんと行ったらしいのだが、なんと売り切れ。
だったら本店に行くしかないと思いつつ、もうこの時間じゃ売り切れてるんじゃないかなぁと絶望的な気持ち。でもダメもとで電話をすると「大丈夫ですよ」との返事。
それで日本橋から今度は王子へ行ったのだが、小さな店舗の前には行列。並んでいる卵焼きがあと3つだったのに前のおばさんが3つ全部買ってしまった!
もうだめか…と思ったら、なんと裏で作っているらしく、ちゃんと出してもらえた。

んまー。お気遣いなく。だいたいさん助師匠はそういうの苦手そうだし、そういうことを思いつくとUNAさんに負担がかかる一方だし、さん助師匠は落語を一生懸命やってくれればいいんですよー。
と言いながらも嬉しい。さん助師匠って落語の舞台になった場所に行ってみたり、落語に出てくる食べ物をお客さんにもふるまってくれたり…そういうところ、いいなぁ。落語愛を感じる。
そしてどうでもいいけど、さん助師匠って説明するときに「これっくらいのおべんとばこに♪」みたいな四角を作るんだよな~と前から思っていて、この日もそうだったのでおかしかった。


さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第二十八回「八方塞がり」
御用聞きの石澤文九郎は義松に目を付けてどうにかして引きずりおろそうとしている。
しかし義松の方も武装して隙を見せない。
そんな時、文九郎が平三親分に話を持ち掛ける。それは武器をすべて出せば今後平三の賭場には手は出さないから自由にやっていい、というのである。
義松は危ない話だと進言したのだが平三はいい話だと思い、武器をすべて文九郎に差し出す。
しばらくして祇園祭がやってきて平三の賭場はいつも以上の客でごった返す。
その夜、義松のもとに「文九郎が今夜賭場に奇襲をかけてくるらしい」と言いに来た男(子分?)がいた。
最初は信じなかった義松だが、確かにこれは怪しいと思い、大慌てで平三のもとへ向かう。
一方平三の方は赤い木綿の鉢巻きをした男たちがやたらとあちこちにいることを危ぶんでいると、この男たちが合図の後一斉に襲い掛かってくる。これがすべて文九郎の一味。
最初は気迫で文九郎の子分たちを威嚇した平三だったが、多勢に無勢で捕まってしまう。
一人残った義松がこの様子を高いところから伺っていると、義松の後ろにこっそり近づいてきた男がどん!と義松の背中を押す。
押された義松はごろごろと転がって川に落ちてしまう。もはやこれまでかと思っていると船が近づいてきて義松を助けてくれる。
川中まで出てようやく義松が一息つくと、助けてくれた男というのが文九郎で、しまった!と逃げようとすると四方八方を船で囲まれていて、八方ふさがりになった義松はいよいよ文九郎に捕まえられてしまう。

…なんだそりゃ。
やくざの大親分がそんな口車に乗るのかよと思うし、そもそもそんな約束にどんな効力があるんだよと思うし、文九郎がどれほどの者なのかは知らないけど、やけに大勢子分がいるなぁと思う。
とにかく義松のパターンとして、追われる→逃げる道中で自分を助けてくれた人を殺す→行った先でなぜか大親分に信用されて出世する、あるいは、自分が大親分になる→女を手に入れる→追われる …なんだな。
自分に惚れぬいた女を平気で殺したかと思えば、別に思い入れもないような親分が捕まったと聞いて「親分!」と叫んでみたりする。
なんやねん!

…ってまた文句ばかり書いちゃった。次回も楽しみ。


さん助師匠「堀之内」
「王子の狐」がそれほど長い噺ではないので、と言って「堀之内」。
もうこの「堀之内」がひっくり返るほどおかしかった。
粗忽な人が粗忽な人の噺をやるとこんなに面白くなるのか!
なんたって噺の中の人がおっちょこちょいをするたびに加速していくようにさん助師匠もごちゃごちゃになってきて、お参りが済んだ帰り道でもまだ「南無妙法蓮華経」唱えてるし、家に帰ってきて金坊をお風呂に連れていく時「隣の子はこんなにすごいぞ」と話すんだけどその隣の子の名前も「金坊」。言った後に「あれ?違うな?もうわからなくなっちゃった!」。
前に聞いた時よりぐっと面白くなってた。すごいわ、ほんと。笑った。

さん助師匠「王子の狐」
男が王子を歩いていると道で狐が昼寝をしていて、それに石をぶつけると狐が起きだして、それを陰で見ていると、狐がきれいな女に化ける。
あれは誰を化かそうとしているんだ?とまわりを見渡すとだれもいなくて「あ、おれか」。
あんなにいい女じゃだまされちゃうよと言いながら眉をこするんだけど、「眉唾」なんだから唾もつけないとだめなのでは?(笑)
不思議なのはさん助師匠の「いい女」ってほんとに結構「いい女」なんだよなー。なんか意外にも色っぽい。
どんどん飲まされた狐が酔っぱらって寝込んじゃって目が覚めてお勘定押し付けられたと気づいても逃げることもできず座布団の上に座ってるって…なんかかわいらしい。
お土産の卵焼きを持って友達の家を訪ねた男が「お狐様を化かすなんて」と諫められて青くなって次の日狐の家を訪ねて行って狐の子供にお土産を渡すって…なんかかわいらしいな、この噺。
楽しかったー。
そして仲入りでいただいた卵焼きも甘くてとてもおいしかった。これを狐ちゃんも食べたのかな、なんて思うとなんか楽しいな。