りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ナオユキ三夜 第二夜

4/9(火)、道楽亭で行われた「ナオユキ三夜 第二夜」に行ってきた。

・ナオユキ スタンダップコメディ
・頼光「ジャックと豆の木
・頼光「弥次喜多尊王の巻」
・ナオユキ&頼光 トーク
~仲入り~
・ナオユキ スタンダップコメディ

ナオユキさん スタンダップコメディ
いきなりネタに入る。それもなんだろう、ちょっとシュールなネタ。
夕暮れの街の風景、そこに見える人間模様。
ちょっとわかりにくいのか笑いが少な目でナオユキさんの緊張感が上がっていく感じ?

頼光さん「ジャックと豆の木
トークなしでネタに入ったナオユキさんのことを「シャイだからナオユキさんは笑点に出てことをおっしゃらない」と。
ナオユキさんと頼光さんの接点は繁盛亭らしい。ちょっと意外。
色物の楽屋でベテランの漫才師の先生から「あれに似てるわ、あんた、あれに。ほら。歌手の。ほら。クスリで逮捕された。あれ。」
わからないでいると前座さんが「もしやチャゲアス?」「そう、それや!」
いや似てないし!と思ったけど、先生は「これ舞台で絶対言った方がええわ!」と言われ、えええー?似てなくて楽屋の反応もこんな感じ(シーン…)なのに舞台で言ってもスベるやろ!と思いつつ、でもせっかくの先輩のアドバイス…いやしかし…。
そんな話のあと、今回は原点に戻って…って新作のほうじゃなく、古典をやります。

ということで「ジャックと豆の木」。
こちらは私は三回目。
客席の反応を見て入れるギャグを変えたり、音声が大きかったのをささっと自分で直したり、ものすごい冷静で頭の回転が速いんだなぁ。
同じピン芸だけどある意味ナオユキさんとは対照的。この組み合わせ面白い~。

頼光さん「弥次喜多尊王の巻」。
幕末、子どもたちの歌う俗曲を口ずさんだ弥次さんと喜多さんは、幕吏に捕らえられてしまう。
たまたま通りかかった喜多の妹とその恋人の安田。安田が二人を助けてくれたものの、後からやって来た幕吏たちに加勢され、今度は安田が囚われてしまう。
二人は安田を助けようと屋敷に忍び込むのだが、そこで大泥棒の山嵐に脅されてそちらを先に助けてしまう。
事情を聞いた山嵐はそれなら自分も一緒に助けに行こうということになり…。

かなり古いフィルムで(それをDVDに焼いている?)画像が震えがひどいシーンは目が回りそうになる。
でもそんな古い作品なのにちゃんとばかばかしく面白いというのに驚く。
また頼光さんが絶妙なツッコミを入れるからそれがおかしくてその世界にストンと入れる。
面白いなー。活弁
活弁士は現在10名。そのうち活動している弁士は5名。絶滅危惧種じゃありません。もう危惧されてませんから。絶滅種です」と。でも面白いし映画も公開になるしこれからどんどん人気が出そうな予感。

ナオユキさん&頼光さん トーク
トーク苦手そうな二人だけど、頼光さんの方が断然仕切りが上手(笑)。
なぜ活弁をやろうと思ったのかという質問に、小学校の時の担任の先生が小学1年生に文学作品や黒澤映画を見せてしまうような先生で、そこから自分も映画好きになったという頼光さん。
中学校で無声映画活弁に出会い、そこから…というのだから、すごい。
聞けば聞くほど凝り性でどんどん深いところまでのめり込んでいくタイプというのが伝わってくる。
グズグズになってきたナオユキさんをなだめる頼光さんが面白かった。

ナオユキさん スタンダップコメディ(寄席風景)
「さっきはなんの話もせんといきなりネタに入ってみたんだけど、思ってるより重いんだもん。まいったわー」とナオユキさん。
今度は飲みながらゆるりと。

頼光さんが話してくれたから、と笑点に出た時の話。
思いのほか自分の親だとか高校の友だちだとか地方でお世話になってるお店の人とか…いろんな人が喜んでくれて、それはよかったなぁ、と思っている、と。
笑点ってすごい番組で会場がちゃんと「寄席」の空気になってる。だからとてもやりやすかったし不思議と緊張しなかった。
それよりもこちらで寄席に初めて出させてもらえるようになった時の方が緊張した。
いろんな決まりやしきたりがあってそれが自分はよくわからない。
でもできるだけそういうものには敬意を表したいし従いたい。

初めて浅草演芸ホールに出た時はにゅーおいらんずの興行だったのだが、楽屋にいろいろな差し入れが入っていた。
自分が出る前に「お酒があるよ」と声をかけてくれた師匠がいて、うわっどうしよ!と思いながら、でもすすめてくれたんだからいただこうと飲んだ。その師匠の高座を袖で見させていただいて挨拶をして引き上げようとしたら、またお酒をすすめてくださる。二杯目も飲んでええもんやろか思いながら飲んだら、今度は寿司があるから食ってけとおっしゃる。
楽屋を見ると若手は誰も食べてない。その師匠も食べてない。
こ、これは何かのトラップか?!と思い、しかしせっかく言ってくださってるのにいったいどうしたら…と考えて、そうだ、師匠にとってあげてから自分も食べよう!と思い、「師匠は何がお好きですか?」と聞いてみた。すると師匠が「おれは喧嘩が好きだ」。
えええ?なにその答えー?と思いながら、寿司をぐると見渡して「ケンカ…あるかなぁ…」と言ったら、どかん!とウケた。どうやらこれでよかったらしい。

…ぶわははは。おもしろーい。
確かにそういうしきたりはと全く無縁なところから入って来た人は気を遣うよなぁー。
でもナオユキさんえらーい!たとえ正解じゃないとしても、ちゃんとリスペクトの気持ちがあったら大丈夫な気がした。
噺家さんって面白い。というのは、落語という芸に対しての愛情がものすごく強いから、売れたいとかじゃなく、落語をこうやってやって食っていければいい、と考えてる人が結構たくさんいて、それだけに純粋というか変わった人が多い。そこが我々と違うところで面白いなぁと思う。

その後は、自分の親の話。
かなりぶっとんだ話が多くて、えええ?と驚きながらも、なんか笑ってしまう。
いつものネタではないナオユキさん。スペシャルでよかったなー。