りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小んぶにだっこ

4/8(月)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」に行ってきた。

・小んぶ「町内の若い衆」
~仲入り~
・小んぶ「寝床」


小んぶさん「町内の若い衆」
自分はよく「何を考えてるかわからない」と言われることが多い、と小んぶさん。
最初、師匠からそう言われたときは、もっと気を使えとかもっとお世辞を言えという意味なのかなと思ったけど、そうじゃなくてほんとに師匠は私が何を考えてるかわからなかったみたいです。
弟子にしてください!とお願いして入って来たやつが何を考えているかわからないって…師匠も大変ですね…。

自分ではそんなつもりはないけど、いろんな人から「何を考えてるかわからない」「心がない」って言われます。
言われ続けていると自分一人がおかしいとは思いたくないので、他に自分と同じように心のない人はいないかな?と同類を探します。そうしたらいました。花いちです。
で、心がない人間って…ってほんとはありますよ、私にも心は…でもそう言われる人ってえてして感じがいいんですね。人当たりがいいから話しやすい。話を真剣に聞いてくれそう。そう思われるみたい。
そのせいか私も結構初対面でいきなり相談されたりします。
3月終わりごろから寄席に出たり連雀亭に出たりしてその後ニツ目同士でご飯を食べに行ったりしたときに、いろんな人が相談してくるんですよ。あなた誰ですか?っていう初対面の人まで。
ニツ目って感情が上がったり下がったりする生き物なんです。仕事があれば上がる、なければ落ち込む、ウケれば上がる、けられれば落ち込む…。で、どうもここ数週間会ったニツ目がみんな落ち込んでる人ばかりで、面識もないような人からも重い相談を受けまして。
そうすると心のない人間はどうなるかっていうと、頭真っ白になっちゃうんですね。へらへらしちゃう。で、相手にがっかりされる。

でも私にも決して心がないわけじゃなかったんですね。自分も気持ちが落ち込んできてついに声が出なくなりましたから。
で、噺家ってよく声帯ポリープになるんです。私も絶対それだ!と思いましてね。耳鼻咽喉科に駆け込みました。それで内視鏡で見てもらったんですけどね。当然声帯やられてるでしょ!と思ってたらね、声帯はきれいだったんですね。すごく。で、その上にある呼気っていうのが腫れてたみたいです。私は声帯ポリープって言ってほしかったのでその時点でもう帰りたくなりました。

…ぶわははは。
小んぶさんが自分で「心がない人っていうのは」っていうのがおかしくておかしくて。
でもなんか少しわかる気がする。小んぶさんも花いちさんも優しそうで感じいいけど、もう少し踏み込もうとすると親しくなれない感じがにじみ出てる。おそらく冷たいわけじゃなく人にあんまり興味がないタイプ?(笑)
でもそれが落語の面白さにもつながってる気がするんだよな。そのちょっとつかみにくいところが。

あと、先月は大須演芸場に5日間出ました、と。
新真打の披露目だったんだけど、大須では前座が出ないので自分が開口一番。で、これがもうウケない。自分は名古屋のお客様には合わないんだな…と毎日落ち込んで下がる。そのうち笑いが起きると「え?なんで?」とまで思うほどに。
そんな場に一緒にいた勧之助師匠がなぜかtwitterで「今小んぶが面白い」とつぶやいてくれた。
自分はtwitterをやっていないので知らなかったのだが、わざわざそれを教えてくださったお客様がいらした。
ええ?あの大須の高座を見て「面白い」って書いてくれた?どこが面白かったの?なんで?
そして勧之助師匠こそ「何考えてるかわからない」人。
先輩と打ち上げ行ったりするといかにその先輩に気を使うかみたいのが芸人にはあるけど、あの人はそういうことを一切しない。全くしない。それで、ニツ目の市弥くんの顔をじーーーっと見つめて「イケメンだなぁ」と言ったりしてる。変な人なんです。
でもtwitterは嬉しかったしありがたかった。でもそのお礼をメールや手紙で送るのもおかしいので…私なりにどうやって感謝の気持ちを表現しようかと考えて…今日は勧之助師匠の手ぬぐいを使わせていただいてます。

…ぶわはははは!見た見た!勧之助師匠のそのつぶやき!すごく嬉しかった!
外から見ると勧之助師匠ってソツのない、できる男っていうイメージなんだけど、やっぱり何考えてるかわからない人なんだ?面白い~!

そんなまくらから「町内の若い衆」。これは正朝師匠に教わったのかな。そんな印象。
待ち受けるおかみさん。ガタイの大きな小んぶさんが横座りして煙草を女っぽく吸うしぐさがインパクトありすぎて大笑い。
一番笑ったのが「お前、それでも女かよ」と言われたおかみさんが、「あたしゃ女だよ」と言いながらなぜか胸の前でハートを作る。なにそれ?なんなの?と、腹筋が崩壊するぐらい笑った。小んぶさん、頭おかしい!(←ほめてます)。
友だちも玄関先でおかみさんを見て「うわっ、いた」って怖がるのがおかしい。
そして太ったアブラムシがネズミ並みの大きさというのにも笑った。
ネタ卸しだったのかな?あんまりまだやってない感じはあったけど、回数を重ねたら小んぶさんの爆笑噺になると思った。面白かった。

小んぶさん「寝床」
先月の一門会のまくらから「寝床」。
大旦那の声慣らしが激しすぎて意味不明でおかしくておかしくてひっくり返って笑った。
小んぶさんもやっているうちにテンションがおかしくなってしまったみたいで、あれこれいろんなパターンの声慣らし。全然繁蔵が帰って来ない(笑)。
ようやく繁蔵が帰って来て話していても、旦那がすぐに声慣らし。旦那、どうやらこれで精神を落ち着けてるらしい。わははははは!!

誰も来ないと聞いて気を悪くした旦那が「長屋をもう一度まわっておいで」と言われた繁蔵。「勝訴の紙を持って?」には笑った。
でも何より笑ったのが追い詰められた繁蔵が「旦那の義太夫きらい」「義太夫聞きたくない」。それを聞いた旦那が「それは言っちゃだめだよ」「えええ?言わないでどうにかするっていう話だろう?」。ぶわはははは!このやりとりが小んぶさんらしい~。さからわない。頑張らない。繁蔵さえも。
旦那の義太夫が始まって「褒めろよ」「どこを褒めるんだよ」のやりとりの後にも「ひどい!」って無理して褒めてないのもおかしい。
あまりにも声慣らしが激しすぎて最後わやわやになってたけど、ひっくり返るほどおかしい「寝床」だった。笑った笑った。